「慰霊の日」まで3カ月かけ、24万1566人の名前を一人ずつ読み上げ 戦後75年に合わせ追悼礼拝


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追悼礼拝で演奏されるパイプオルガンを背に参加を呼び掛けるアイリーン・タナベ司祭(中央)と角田千代美さん(左)、チャーチ弘美さん(右)=20日、北谷町吉原の北谷諸魂教会

 【北谷】戦後75年の節目に合わせ、北谷町吉原にある日本聖公会北谷諸魂教会は26日から、糸満市摩文仁の平和の礎に刻銘されている沖縄戦犠牲者の名前を読み上げる追悼礼拝を始める。全犠牲者の読み上げは平和の礎が除幕された戦後50年以来で、2回目の取り組み。6月23日まで24万1566人の名前を一人ずつ読み上げながら、平和への祈りをささげる。

 1995年に同教会の司祭を務めていた日系2世のティモシー・誠・中山さん(故人)が追悼礼拝を始めた。中山さんはカナダ出身で米国ワシントン州シアトルに移住。戦時中は日系人の強制収容所に収容された経験もあり、地上戦で犠牲になった人々の追悼と平和への思いが強かったという。

 昨年6月に死去した中山さんの遺志を引き継ぐアイリーン・タナベ司祭(68)は「75年の節目に次世代へ思いをつなぐ使命があると感じている」と話す。

 追悼は慶良間諸島への米軍上陸が始まった3月26日から始まり、慰霊の日まで続く。礼拝時にはパイプオルガンの演奏も予定されている。オルガニストのチャーチ弘美さん(61)は「声に出して読んだ名前がオルガンの音色に乗せられ、天まで届くだろう」と語った。

 教会名の「諸魂=All Souls」には、国籍を問わず沖縄戦で犠牲になった全ての魂のために祈るという思いが込められている。信徒の角田千代美さん(67)は「県民の多くが沖縄戦で犠牲になった家族がいると思う。宗教に関係なく参加してほしい」と呼び掛けた。

 追悼礼拝は月曜日~土曜日午後0時半と同6時半の2回、日曜日は午後6時半。礼拝の日程によって予定を変更する場合もある。また新型コロナウイルス感染対策のため、参加人数を制限する。

 参加を希望する場合の問い合わせは(電話)098(923)2111。時間外はチャーチさん(電話)080(2791)8052。