エナジックが2度目のV 沖縄県公式野球・石川杯 沖電に6-5、5連覇阻止


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
エナジック―沖縄電力 延長10回1死2、3塁 田中厚成のスクイズでサヨナラのホームを踏んだエナジックの慶田盛要(手前)=23日、恩納村のONNA赤間ボールパーク(喜瀬守昭撮影)

 硬式野球の第38回石川逢篤杯争奪大会最終日は23日、恩納村のONNA赤間ボールパークで行われ、決勝でエナジックが延長十回タイブレークの末、6―5で5連覇を狙う沖縄電力に勝利し、5年ぶり2度目の頂点に輝いた。序盤にリードを許したエナジックだったが、五回裏に一挙5得点で追いつき、延長戦に持ち込んだ。十回裏は1死二、三塁とした場面で田中厚成がスクイズを成功させて勝利を決めた。

▽準決勝
琉 球 大 0100000 |
沖縄電力 0120032x|
 (七回コールド)
 (琉)稲葉―小林
 (沖)山城―宮里
▽本塁打 宮國、金城秀(以上沖)
▽三塁打 小濱(沖)
▽二塁打 喜屋武、青山(以上琉)、金城秀、内間竜、儀間(以上沖)

エナジック 不戦勝 てるクリニック

▽決勝
沖 縄 電 力 0013010000 |
エナジック 0000500001x|
 (延長十回タイブレーク)
 (沖)松川、亀里、内間敦―佐喜真
 (エ)川邊、山下、西村―城間
▽本塁打 佐喜真(沖)
▽二塁打 平良大(沖)、宮城(エ)
▽殊勲賞 宮城諒大(エ)
▽敢闘賞 佐喜真拓哉(沖)
▽首位打者賞 國吉竜也(エ)6打数5安打

8回から登板して、沖縄電力打線を抑えたエナジックの西村憲

5回好機逃さず一気に5点獲得、延長戦に持ち込む

 4点ビハインドの五回裏、この回トップの大城幸泰がエナジックの勝利への突破口を開いた。2球目を左翼に運ぶと「続け」とベンチも大盛り上がり。「ここが攻めどころだ」と好機を逃さず、走者をためて9番・藤村捷人が2点適時打。2番・慶田盛要、4番・宮城諒大の連打で追い付いた。

 無死一、二塁で開始の十回タイブレークは1死二、三塁と進めると、この日二つの犠打を決めている5番・田中厚成が打席に。3球目、ベンチからのスクイズのサインで打球は投手の正面に転がったが、三走の慶田盛が猛ダッシュで生還。ガッツポーズでホームインし、逆転優勝を決めるとベンチから選手が飛び出し、慶田盛を大歓声で迎えた。

 昨年、一昨年と決勝に進みながらも沖縄電力に優勝を阻まれ「ことしこそ勝たないといけない」との思いで挑んだ。

 新型コロナウイルスの影響や負傷で練習試合も満足にできない状況の中で、開幕戦を優勝で飾ったことに、石嶺和彦監督は「準備は例年に比べるとまだまだだが、選手の自信につながる」と手応えを感じている。4月には全国大会も控え、山下星也主将は「ことしは改革の年。全国大会も絶対に優勝しないといけない」。躍進の1年となるよう挑み続ける。
 (上江洲真梨子)

ピンチで登板 西村締めた

 エナジックの最年長、34歳の西村憲が八回表の2死一、三塁のピンチで登板。これを切り抜けると最後まで抑えた。「きょうは直球が切れていた」と真っすぐで押しながらカットなどの変化球でうまく誘い、打者8人と対戦し、被安打1で封じた。

 2009~13年に阪神で主に中継ぎを担当。その後は石川県や滋賀県の独立リーグチームで活躍し、18年からエナジックでコーチも兼任している。「後半になるにつれ一球一球を大事に慎重に投げた」とこれまでの経験を大一番で発揮した。

 延長十回の場面は、1球を投じる度に声を出しながらの力投で4人で打ち取った。自身も中継ぎで登板した山下星也主将は「タイブレークを完封で抑えたのは大きかった。優勝の立役者です。独特の感性、間の取り方など学ぶ部分が多い」と先輩の活躍に目を輝かせた。

 

優勝したエナジックのメンバーら