五輪延期「やむを得ない」 県経済界 観光需要先送りに懸念も


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 新型コロナウイルス感染症の影響で東京オリンピックの延期が決まったことに、県内経済関係者は「やむを得ない」と理解を示した。中止ではなく延期の判断が出たことを前向きに捉え、五輪開催時の県経済活性化を願う意見も上がった。

 沖縄経済同友会の渕辺美紀代表幹事は「沖縄でも有力なメダル候補がいる中での延期は残念だが、やむを得ない。中止ではなく延期なので次の目標が立てられる」と話した。

 県商工会連合会の米須義明会長は「落ち着いた段階で開催することで、経済高揚の起爆剤になることを期待したい」と述べた。その上で「開催時には合宿の実施など、元の予定通りに実施してもらいたい」と要望した。

 県中小企業団体中央会の島袋武会長も、延期の判断に理解を示し「全世界で人の動きが止まっている。観光を主要産業とする沖縄は多大な影響を受けている。検疫や防疫体制をさらに徹底し、一刻も早い終息を目指してほしい」と述べた。

 日本旅行業協会沖縄支部の與座嘉博支部長は、五輪に合わせて旅行プランを組む県内の旅行社もあることから、再予約など業務負担が増すことを懸念する。一方で「開催時期が夏場の旅行シーズンから外れれば、ホテルや航空券の代金が抑えられるメリットもある」と指摘した。

 おきぎん経済研究所は「沖縄に与える直接的な影響は限定的と考えられる」とした上で、海外客の地方観光誘発効果や事前合宿による宿泊収入が先送りされるなどの懸念があることを指摘。延期で国内消費が冷え込んだ場合、沖縄への旅行需要が弱含む可能性もあるという。

 りゅうぎん総合研究所の武田智夫調査研究部長は「感染が終息しないことで当面は人の動きが鈍くなり、入域観光客の3割を占めるインバウンドの回復に時間がかかれば、県経済のマイナス材料になる」と指摘した。