「沖縄の状況無視」傍聴席の市民ら憤り 辺野古関与取り消し訴訟に敗訴


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最高裁判所

 【東京】辺野古「関与取り消し訴訟」で県の上告を退ける判決を言い渡した最高裁第1小法廷には、国会や官邸前で辺野古新基地建設を訴える本土の市民ら10人も傍聴に並んだ。判決を聞いた市民らは「軟弱地盤を認めた経緯を無視している」「司法の役割を捨てた」「こういう日本の社会が悲しい」などと憤りややるせない声が上がった。27日には最高裁前で抗議の集まりも予定されている。

 いずれにも偏らないことを示すかのように白一色で包まれた法廷。県側の席には渡久地一浩県東京事務所長や県側弁護団の加藤裕弁護士らが着席。5人の裁判官が入廷すると、県側の面々は静かに前を見据えて判決を待った。

 「主文。上告を棄却する」。開廷宣言から約1分、裁判官が静かに県敗訴となる判決内容を言い渡した。加藤弁護士は判決文に目を通しながら「高裁と同じ枠組みの判決だ。国に都合のいいように何とでも言えるということか」と顔をしかめた。

 三多摩市民の会の古荘斗糸子(ふるしょうとしこ)さん(80)は不自由な足を押して傍聴に訪れた。この日の判決はメモも取りながら聞き入り「沖縄の状況を無視するひどい形の判決はとても許せない。こういう日本の社会が悲しい」と目を伏せた。

 傍聴したピースボート共同代表の野平晋作さん(55)は「行政の暴走に歯止めを掛けるのが司法の役割だが、それを捨ててしまって民主主義の危機でもある。とんでもない判決だ」と憤りを表した。

 辺野古埋立土砂搬出反対首都圏グループの毛利孝雄さんは「今沖縄で起きていることに最高裁は目を向けていない。本当にひどい」と話した。