「24時間空港の強みを生かす」那覇空港第2滑走路の利用開始に経済界から期待の声


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供用が始まった那覇空港の第2滑走路に着陸する航空機(奥)。手前はターミナルビルに向かう航空機=26日

 2014年1月の滑走路増設事業の着手から6年余り、待望した那覇空港第2滑走路の利用が26日に始まった。新型コロナウイルス感染症という強い逆風にさらされる中ではあるが、産業界からは県経済のさらなる飛躍に向けて期待の声が相次いだ。

 年間発着容量は1・8倍に拡大し、新規路線就航など観光産業の拡大が期待される。片方の滑走路をメンテナンスしている時でも、離着陸ができるため、完全な24時間稼働が可能になる。沖縄観光コンベンションビューローの下地芳郎会長は「深夜便が使えるようになるため、夏の旅行シーズンに向けて強化したい。(新型コロナ終息後に)客が動き出した時の受け入れ環境は整った。貴重な財産を生かしていきたい」と表情を引き締めた。

 県経営者協会の金城克也会長(りゅうせき会長)は「2本の滑走路と24時間空港という強みを生かし、観光産業、物流産業などのさらなる成長を図る」と語った。那覇空港ビルディングの安里昌利社長は、来年夏に延期された東京五輪・パラリンピックに向けて「今年の夏に見込まれていた以上の旅客数を達成すべく、県とともに航空路線や観光客誘致に取り組んでいく」と意気込んだ。さらなる整備を求める声もある。那覇空港拡張整備促進連盟は、2本の滑走路の間を埋め立て、ホテルなどを備えた新たな旅客ターミナルを整備する「世界最高水準の国際リゾート・ビジネス空港」構想を打ち出している。同連盟の石嶺伝一郎会長(県商工会議所連合会会長)は「早期実現を目指し積極的に取り組む」と意欲を燃やした。

 第2滑走路は強い波風にさらされる難しい工事環境だったが、工期は当初予定の7年から5年10カ月に短縮された。県建設業協会の下地米蔵会長は「建設業も県経済の発展に貢献できるというやりがいを感じて頑張れた。投資を呼び込むことで、建設や不動産業など観光以外の発展にも大きく寄与する」と喜んだ。

 事業主体の沖縄総合事務局の吉住啓作局長は「沖縄観光の可能性は高まる。ハード・ソフト両面でより一層空港の利活用に向けた取り組みを進める」とコメントした。

 県漁業協同組合連合会の亀谷幸夫専務は「観光客が増えれば飲食店や直売所で魚の需要が増え、単価も上がる」と期待した。