【記者解説】逆風の中で第2滑走路の利用開始 沖縄の観光は?


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3月26日から運用開始那覇空港第2滑走路=2020年3月15日

 第2滑走路の利用開始で那覇空港の年間発着容量は24万回まで拡大し、沖縄を中心とした観光や物流の活性化が期待される。一方で新型コロナウイルス感染の広がりで観光客数は落ち込み、県経済が停滞するなど先行きの見えない状況は続く。観光客誘致を見込めた東京五輪の延期も決まり、強い逆風が吹く中で第2滑走路の利用開始を迎えた。苦境を乗り越えてさらなる発展を遂げることができるか、沖縄観光の力量が問われている。

 アジアからの航空路線の拡充に伴い沖縄を訪れる観光客は急増し、2019年は1千万人を突破した。観光客数の拡大は経済を潤わせた半面、交通渋滞や地域住民とのトラブルといった市民生活との摩擦も増していった。浮上する課題の解決が十分になされないままで第2滑走路が完成し、これまで以上に観光客が押し寄せた場合、ひずみが大きくなる可能性もあった。

 新型コロナの感染拡大で沖縄発着の国際線はゼロになり、国内線も大幅な減便が続いて観光客数は激減している。観光関係者から「今は耐える時期だ」との声が上がる一方で、「沖縄観光の在り方や、今後の戦略を練り直す機会にもなる」との指摘もある。

 第2滑走路の利用開始という好材料と、新型コロナによる経済の落ち込みという難局の中で、沖縄観光は今後の方向性を見いだす重要な時期を迎えている。県内観光業界を中心に終息後を見据えた取り組みも進められる。沖縄の観光や経済を新たなステージに引き上げられるか、今後の動向が注目される。(平安太一)