9・11以来の景況悪化 新型コロナ、沖縄経済を直撃 DI値の下げ幅最大  


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 沖縄振興開発金融公庫(川上好久理事長)が27日に発表した1~3月期の県内企業景況調査結果で、企業の景況感を示す業況判断DIが前期(2019年10~12月期)から30・9ポイント悪化のマイナス34・3に落ち込んだ。DIの下げ幅は1995年の調査開始以降で最大となり、沖縄公庫は県内景況は「急速に悪化している」と判断した。景況判断に「悪化」の表現を盛り込んだのは、米中枢同時テロ発生直後の2001年10~12月期以来となる。

 別に実施した新型コロナウイルスの影響に関する企業調査では、新型コロナの影響で「業績が悪化した」と回答した企業は61・9%に上った。業種別では飲食店・宿泊業や運輸業、サービス業で業績悪化の回答割合が高くなった。

 沖縄公庫は「観光関連業種を中心に新型コロナウイルス感染症拡大の影響で急速に悪化している」と指摘する。来期(4~6月期)の業況判断DIはマイナス38・0とさらに悪化する見通しで、先行きの不透明感も強まっている。

 1~3月の業況判断DIを業種別にみると、「飲食店・宿泊業」がマイナス90・9と落ち込みが大きかった。団体旅行客のキャンセルでホテル稼働率が低下しているほか、歓送迎会の中止などで飲食店も厳しい状況にあるという。

 バスやタクシーなどを含む「運輸業」も団体客が入らず、マイナス66・7と業況悪化の実感が大きかった。百貨店やスーパー、土産品店などで外国人客の売り上げが減少したことから「小売業」でもマイナス47・6となった。

 人員が「不足」と答えた企業から「過剰」と答えた企業を引いた割合を示す雇用判断DIはプラス42・4となった。

 人員不足と回答する企業が上回る一方で、プラス幅は前期より11・4ポイント低下している。新型コロナの影響で顧客が減少し、従業員の自宅待機が行われる飲食店・宿泊業などでプラス幅が大きく減少した。

 経営上の問題点(複数回答)は「売り上げの不振」が18・9%と最多となり、これまで高い割合を占めた「求人難」の18・4%を上回った。