FC琉球―沖縄SVの練習試合を公開 「世の中に明るい話題を」と異例の対応


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 サッカーJ2のFC琉球と九州リーグの沖縄SVによる練習試合が28日、沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアムで行われた。45分ゲームを3本実施し、1―1だった。新型コロナウイルスの影響でJリーグは中断されており、練習試合は感染防止のために一般には非公開で実施したり、取材を断ったりするチームも少なくない。だがFC琉球の樋口靖洋監督は「報道を通して世の中に流れに明るい話題を届けたい」と、メディアに公開した。戦術が外部に漏れてしまう懸念もあるため、通常は報道も制限されるが、今回は試合内容の収録、選手配置が分かる写真の撮影を許可するなど、異例の対応を取った。

FC琉球 試合勘に懸念 故障復帰の朗報も

FC琉球―沖縄SV ディフェンスをかわしてシュートを放つFC琉球の阿部拓馬(左)=28日、沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアム(大城直也撮影)

 リーグ再開後は5月3日にアビスパ福岡とのアウェー戦が予定されているFC琉球。試合勘を維持する懸念もあり、九州で活躍する沖縄SVとの練習試合を多く行い調整を重ねてきた。

 入念に琉球対策を講じてきた沖縄SVには果敢にプレスを掛けられ、カウンターから何度もゴールを脅かされた。スローインを相手に渡したり、簡単なパスミスから主導権を奪われたりして冷静さを欠いた場面もあった。

 上里一将主将は「このままではリーグを迎えられない」と危機感を示す。

 一方で明るい話題もあった。長期離脱していたMF富所悠は2列目で調子の良さを見せ、FW山口和樹も豊富な運動量で攻撃を加速させた。富所は「思ったよりも動けた」と振り返る。

 今季初のホーム戦(6日、レノファ山口)へ向け、樋口監督は「躍動感と一体感のあるサッカーで、サッカーの面白さを伝えたい」と力を込めた。

沖縄SV 課題の守備改善 格上相手に手応え

FC琉球―沖縄SV コーナーからのセンタリングに反応する沖縄SVの髙原直泰(10)ら(大城直也撮影)

 沖縄SVは縦に速いサッカーで、J2の開幕戦でスタメンを張ったメンバーが多くいる琉球を相手に1本目で1点奪った。髙原直泰は「練習の成果が少しずつできている」とし、JFL昇格への確かな手応えを示した。

 ゴール前で張る髙原がフリーでパスを受け、冷静に流し込み先制した。守備は1失点のみ。元J1選手で、GK出身の山本浩正氏が監督に就任したことで、昨季課題に挙がった守備も改善。フリーで打たせることは少なく、決定機をほとんどつくらせなかった。

 沖縄国際大から新加入したDF比嘉和輝も後方でチームを支えた。「ボール保持の部分で学ぶことが多かった。縦パスに対するプレッシャーは誰にも負けない部分だ」と語った。

 沖縄開催予定だった九州リーグの第4節までは中止となり、沖縄SVは4月19日に天皇杯予選を控える。髙原は「ベースをつくるこの期間が一番大切になる。チームの質を上げていきたい」と語った。