入社式異変 新型コロナで中止や規模縮小 担当者「苦渋の決断」


この記事を書いた人 Avatar photo 米倉 外昭

 例年4月1日に多くの企業が実施している入社式に、新型コロナウイルス感染症の拡大が影響を与えている。入社式や入行式の中止、規模縮小を決めた県内企業もある。企業の担当者らは、新社会人となる晴れの日に式典を開催したいという思いと、感染拡大防止の難しさの間で苦悩している。

 沖縄銀行は27日に入行式の中止を決めた。新入行員の研修も、4月14日までウェブを活用して自宅で実施するというこれまでにない対応を取る。伊是名克也人事部長は「苦渋の決断だが、新入行員の安全を最優先した。落ち着いたころに、新入行員と役員との懇談会などの実施を検討している」と話した。

 リウボウグループも合同入社式の中止を決めた。担当者は「参加者が罹患(りかん)するとその家族まで影響が出てしまう。役員に感染すると経営もうまくいかなくなる」と説明した。県中小企業家同友会も、2日に予定されていた合同入社式を取りやめ、合同研修会は5月に延期した。

 規模を縮小する企業も多い。沖縄海邦銀行は新入行員への辞令交付を代表者だけとし、毎年実施している経営理念の唱和を省略する。琉球銀行は本店で実施している入行式を、ホールのあるりゅうぎん健保会館に移し、出席者間の距離を広く取った上で開催する。担当者は「学校の卒業式がなくなった人も多いので、重要な節目としてできるだけ開催したい」と話した。

 サンエーは大卒採用と高卒採用で時間を分けて実施する。進行も例年は1時間程度のところ、今年は20分程度を予定している。担当者は「状況を見ながらぎりぎりまで内容を検討するが、基本的に中止はしない」と話した。

 JAおきなわは中途採用と新卒採用を分けて入組式を行う。例年は理事長が全員に辞令を交付するが、時間短縮のために役員10人で一斉に交付する予定だ。担当者は「社会人にとっての入学式で、大切な日だ。感染防止に配慮しながら行う」と話した。