コロナ外出自粛要請中も政権幹部が続々沖縄入り 県議選へのてこ入れが狙いか 菅官房長官の危機意識希薄に批判の声も


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 29日の那覇空港第2滑走路の運用開始記念式典には、東京から菅義偉官房長官ら閣僚に加え、自民党の岸田文雄政調会長ら党幹部も相次いで出席した。新型コロナウイルスの感染拡大で東京都などで不要不急の外出自粛を求める中、政権の危機管理を担う菅氏ら政権幹部や与党幹部が大挙して来県したことに「危機意識が足りない」(県政与党幹部)との批判が渦巻く。

 当初、政府内でも菅氏の出席には慎重論があったが、当時の仲井真弘多知事の要請を受けて滑走路建設の予算を増額し、工期を短縮するなど「長官の思い入れが強い事業」(政府関係者)だけに、菅氏が押し切った形だ。

 式典の延期論は最後までくすぶったが、政府関係者は「27日に予算が成立し、週明けからは補正予算の議論が本格化する。29日しか日程が取れなかったのも事実」と指摘する。

 一方、菅氏は式典の前後には経済団体や金融機関の幹部と相次いで面談し「沖縄の皆さんの生活を守るために全力で支援する」と語るなど、政府系金融機関を活用した企業支援を表明した。菅氏の発言に経済界からは「心強い」との受け止めが大勢を占める中、県政与党内には6月の県議選に向けたてこ入れとの見方もある。

 実際、菅氏は会合の合間を縫って県議選の立候補予定者2人と写真撮影をこなしたほか、県連幹部と県議選の情勢について意見交換するなど、「与野党逆転」に向け激励する一幕もあったという。

 自民県連関係者は菅氏の来県に「菅さんにとって那覇空港は沖縄政策の『一丁目一番地』。コロナ関連は2番、県議選はあくまで3番目の目的だ」と語る。ただ、県政与党幹部から、このタイミングの来県について批判の声が上がる。与党幹部の一人は「式典出席自体は悪くないが、大変な時期に危機管理のトップが来県するのはいかがなものか。沖縄に寄り添っていることをアピールしたい狙いが透けて見える」と語った。(吉田健一)