年休義務17%が「知らない」 働き方改革 沖縄県内 制度浸透に課題


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 2019年4月に施行された働き方改革関連法について、沖縄県中小企業団体中央会が昨年7月に実施した労働事情実態調査によると、年5日の年次有給休暇(年休)の付与が企業に義務化されたことを「知らなかった」との回答が17・9%に上った。対応についても「特に考えていない」が15・2%、「具体的な方策を検討中」が30・3%に上るなど、県内中小企業の認知不足や実施に踏み切れていない実情がある。

 4月1日からは1年間猶予されていた中小企業への時間外労働(残業)の上限規制も適用になるが、労働団体は働き方改革の実効性が担保されるかを懸念する。連合沖縄の砂川安弘事務局長は「実際には義務の範囲である年休すら取れず、残業規制が徹底できるか疑問もある。(法律の上限を超えた場合の)サービス残業が増えることにならないか」と指摘する。

 同実態調査では月平均の残業時間について「0時間」が26・5%、「10時間未満」が24・6%、「10~20時間未満」が22・8%、「20~30時間未満」が13・8%、「30~50時間未満」が11・6%、「50時間以上」が0・7%となった。

 1日以降は原則月45時間が残業の上限となり、多くの企業が上限にかからない形だ。だが、砂川事務局長は「労働組合がない企業では、現状でも上限が守られていない事例もあると聞く。三六協定が結ばれていない企業もあり、実態はより厳しいと考えられる。チェック体制の構築など、関係機関の役割も求められる」とくぎを刺す。

 制度の浸透に多くの課題がある中で働き方の見直しを通じて中小企業の生産性向上につなげようと、経営者に積極的な対応を呼び掛ける動きもある。県中小企業家同友会の喜納朝勝代表理事は「中小企業にとって、今回の改革は変革のチャンスだ。長時間労働などの課題を法律という外圧で変える機会にしたい」と語った。