「経済活動、瞬時に蒸発」沖縄景況8年ぶりマイナス 1~3月、44年ぶり下落幅


この記事を書いた人 Avatar photo 宮里 努

 日本銀行那覇支店(桑原康二支店長)は1日、1―3月期の県内企業短期経済観測調査(短観)を発表した。企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は全産業平均で28ポイント悪化し、マイナス1となった。東日本大震災の影響が残っていた2012年3月以来、8年ぶりのマイナス水準となったほか、下落幅は沖縄海洋博覧会開催の反動がみられた1975年11月調査の29ポイント減に次ぎ、44年ぶりの急落となった。

 業種別では、旅行代理店などを含む「対個人サービス」が100ポイント減のマイナス57となったほか、「小売業」も69ポイント減のマイナス39となるなど、情報通信以外の非製造業全般で軒並み悪化している。
 
 業況判断DIの下落幅は全国よりも大きく、新型コロナウイルスの影響が、観光業や個人消費が主体の県経済に深刻な打撃を与えている。桑原支店長は「経済活動が急激に、急速に、多くの人の予想を超えた形で縮小している。経済活動が瞬時に蒸発した」との見解を示した。

 2019年度の全産業の収益計画について、売上高は前回調査から0.8ポイント減の前年同期比0.8%増、経常利益は4.1ポイント減の前年同期比1.5%減となった。20年度計画も売上高が前年同期比1.0%減、経常利益は同5.2%減となっている。企業からは「業況悪化があまりに急激のため、マイナスの影響をまだ十分に反映できていない」との声もあり、今後さらなる下方修正の可能性がある。
 
 雇用する人員が「過剰」と応えた企業の割合から「不足」と応えた企業の割合を引いた雇用人員判断DIは、全産業で9ポイント減のマイナス40に不足超幅が縮小した。雇用調整助成金などを使い、人員削減をしない考えの企業があった一方、一時解雇や内定取り消しなど雇用削減の事例も発生しており、雇用や所得面でマイナス影響が一段と大きくなる可能性もある。