農水省の違法性で議論入り 辺野古サンゴの移植 県の申し出、係争処理委が初会合


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 【東京】名護市辺野古の新基地建設を巡り、サンゴ類の移植を沖縄防衛局に許可するよう農林水産省が指示したことは違法だとして県が審査を申し出た件で、総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」の初会合が2日、行われた。富越和厚委員長は会合終了後の会見で、県の申し出の適法性を認め、次回から農水省の指示が違法かどうかの議論に入ると発表した。

 県がこれまで係争委に申し出て結論が出された4回のうち、3回は県の訴えが退けられた。サンゴの移植を巡っての審査は初めて。

 富越委員長は会合後の会見で、是正の指示は地方自治法に根拠規定があり、法的効力があることから、係争委の審査対象となる「(国の)関与に当たることは間違いない」と指摘。所定の要件を満たしており「申し出自体は適法」だと判断した。

 今後、4月10日までに農水省の答弁書提出を求める。その後、それに対する県知事の反論書提出などを求める。

 並行して証拠調べの申し立てや主張の追加を23日まで受け付ける。全ての手続きが行使された場合、次回の委員会会合開催は23日以降になる。6月30日までに結論を出す。県側は申出書で、他の埋め立て事業は速やかに許可しているにもかかわらず、この事業で判断を保留するのは正当なものとは認められないとする農水省の指摘に対し、移植計画自体が質、量ともに前例のないものであり「計画の詳細な適切性を判断する必要がある」と妥当性を強調した。

 移植を許可しないことが水産資源保護を阻むとの国の指摘には、サンゴ類の移植自体が本来望ましくなく、移植先の環境に負の影響を与えるおそれもあると反論。県側は「移植によって簡単にサンゴ礁を保全することができると行政や企業などが誤解し、移植が開発行為の免罪符となる可能性がある」と危険性を訴えた。

 また、農水省側が昨年11月の段階で、県に対してサンゴの移植を許可するよう「勧告することを含めた対応を検討せざるを得ない」と警告してきていたとし、国の対応を疑問視した。