県職員コロナ感染、「風邪」診断で式に出席 後手に回る「3密」対応


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沖縄県庁

 県職員で初めて新型コロナウイルスの感染者が出たことを受けて、県は職員に向けた対応方針の策定を急いでいる。これまでは出先機関を含めた全庁舎に設置される掲示板で、発熱した場合の対応や手洗い、せきエチケットの徹底、窓口業務を減らすことなどを周知してきた。ただ、あくまでも注意喚起にとどまるため強制力はなく、毎朝の検温も職員に義務付けていなかった。感染者が出て、ようやく対応方針の策定に動いた。

 方針では、職員に感染者や濃厚接触者らが確認された場合や37・5度以上の熱がある職員が出た場合の対応、起床後と出勤後での検温義務化、会議の在り方、庁内の消毒などを決める。

 県は2017年、新型インフルエンザの流行で職員の欠勤が続出した場合に備えて「県業務継続計画」(BCP)を策定した。業務にあらかじめ優先順位を付けて、状況に応じて中止・継続を判断する。新型コロナウイルスでも、この計画を準用しており、住民サービスに支障が出ないように対応する方針だ。

 一方、今回感染が発覚した新人職員は、風邪の診断を受けたまま1日の辞令交付式に参加していた。県は事前のオリエンテーションで体調不良者は出席をしないよう周知したが、結果的には職員は出席した。早い段階で対応方針が打ち出されていれば、職員が出勤そのものを控えた可能性もある。

 本庁舎だけでも約2500人が働く県庁は出先機関も含めて「密閉」「密集」「密接」の「三つの密」が成立し、新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生しやすい環境にある。

 県関係職員連合労働組合(県職連合)の前泊正人書記長は「今後は職員が不安を抱えながら業務に当たることになる。中には、罹患(りかん)者が出た職場で働く人もいる。不安払拭(ふっしょく)のため県は責任を持って対応してほしい」と訴えた。

 県の医療関係者は「人口密度が高く、どの部屋を見ても密集している県庁ではウイルス流入を防ぐのは難しい。手指衛生の徹底と、職場では常に消毒をした方がいいと思う」と語った。

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