「助け合いの文化」を実践 張さんが北谷に居場所づくり 休校の子や外国人に


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 【北谷】新型コロナウイルスの感染拡大を受け、北谷町美浜のカフェ「呼吸珈琲」は、子どもや外国人のための居場所を提供している。カフェの代表を務める張夢雅さん(39)らは、町内の小中学校が臨時休校となった3月4日から、子ども向けの無料食堂としてカフェを開放した。那覇空港を発着する国際線の全便運休で足止めされた親子も受け入れる。

出国困難になった楊毅さん(右から2人目)と斯浩さん(同3人目)親子を受け入れる張夢雅代表(左)と呉榮強さん(右)ら=2日、北谷町美浜の呼吸珈琲

 中国蘇州市出身の張さんは約10年前、起業をきっかけに移住した。「温かい人情と助け合う文化に引かれた」という沖縄で家庭を築くことを決め、呉榮強さん(46)と結婚、2人の子どもを育てている。持病がある次男の育児中、気軽に外出できなかった経験から、子育て世代がくつろげるカフェを昨年6月にオープンした。子ども用トイレを設置し、おむつや粉ミルクも備えた。

 北谷町、嘉手納町、北中城村でつくるファミリーサポートセンター「ファミサポネットゆくる」の会員でもあり、日頃から育児支援に携わる。

 新型コロナによる臨時休校を知り、働く保護者に代わって子どもたちの面倒を見始め、呉さんの手料理を振る舞っている。

 フランス在住のカメラマン楊毅さん(38)は仕事で沖縄を訪れたが、国際線の運休で出国が困難となった。息子の斯浩さん(9)と約2週間、宿泊先で待機した後、カフェに足を運ぶようになった。斯浩さんは「他の子と遊べて楽しい。安心して過ごせる」と笑った。

 張さんは「助けているという気持ちはない。子どもたちからパワーをもらい、楽しんでいる」と話した。

 呼吸珈琲は5日まで無料食堂を続けるつもりだ。

(下地美夏子)