家や学校と違う子ども居場所に 山里世紀子さん 石垣島に新学童クラブを開所


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山里 世紀子さん

 人口が増加し、街中でも多くの子どもたちの姿が見られる石垣島だが、「子どもの居場所」が十分に整備されているとは言えないのが現状だ。そんな状況を改善しようと一般社団法人サポートセンターHOPE代表理事の山里世紀子さん(62)は、子どもの居場所づくりに取り組む。「地域が立ち上がって子どもの居場所が増えると、もっと住みやすい石垣島になる」と強調する。

 ―取り組みのきっかけは何か。

 「宜野湾市普天間に住んでいた15年ほど前に、子どもと同じ保育園に通っていた人に協力して、障がいがある児童の学童クラブ立ち上げにボランティアで取り組んだのがきっかけだ。そこではまってしまった」

 「石垣島に戻ってきて配偶者暴力相談支援センターで3年間、相談員をした。そこで大変な思いをしている母親や子どもに接してきた。子育て支援が遅れているということで活動を始めた」

 ―どのような取り組みか。

 「島唯一の児童館(市子どもセンター)や『まきら子どもホッ!とステーション』を運営している。他の地域で学童クラブを開設しようという時には、ノウハウを全部教えるなどして応援している」

 「HOPEではひとり親世帯の支援、子ども・若者支援、そして、子どもの居場所づくり事業を三本柱にしているが、それは全て関連する。その観点から2019年にはフードバンク事業を始めた」

 ―子どもの居場所の意義について教えてほしい。

 「家と学校だけでは息が詰まる子どももいるが、別の場所があれば学校や家とはまた違う顔を出せる。相談したり、こちらが何かに気付いたりすることもできる。保護者にとっても、学校や地域に相談しづらくても私たちには相談できるかもしれない。情報支援もできるし、行政につなげることもできる」

 ―今後の展望について。

 「4月8日には自分たちで運営する学童クラブが開所する。公設民営では制限もあったので、そこではフードバンクと連携した子ども食堂などいろいろな取り組みを実践したい」

 「活動を続けることで賛同する人も増えてきた。いろいろな経験を持つ人が力を貸してくれるようになってきた。支援の輪が広がるのはうれしい。みんなと連携して成功例を増やして、子どもの居場所を増やしたい」
 (聞き手 大嶺雅俊)

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 やまざと・せきこ 1957年7月生まれ、石垣市登野城出身。日本音楽学校卒。2005年に石垣島に戻る。子育て支援のNPO法人副代表を経て、14年11月に一般社団法人サポートセンターHOPEを立ち上げた。「地域若者サポートステーション八重山」の非常勤相談員も務める。