「剣道で強い体と心に」 新潟の土田さん夫妻、那覇市内中学生へ竹刀贈る


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那覇市教育委員会に竹刀や絵本を寄贈した「たくろう未来基金」の土田茂博さん(前列左から3人目)、政代さん(同右端)=3月19日、市教委

 新潟県の一般財団法人「たくろう未来基金」の土田茂博代表理事(68)と妻政代さん(67)が3月19日、那覇市教育委員会を訪れて竹刀50本などを寄贈した。土田さん夫妻は、10歳で亡くなった次男拓朗さんが打ち込んでいた剣道の普及を通して青少年健全育成に取り組んでいる。同財団が新潟県外の学校に竹刀を贈るのは初めて。沖縄県在住の知人らが仲介した。竹刀は那覇市内の公立中学校の剣道部に贈られる。

 拓朗さんは1996年、体育の授業中にくも膜下出血を起こして亡くなった。土田さん夫妻は息子が熱中していた剣道を普及しようと、2016年に「たくろう未来基金」を設立した。新潟県内の中学校11校への竹刀寄贈や、拓朗さんを題材にした絵本「少年と剣道」のスライド上映などの活動を続けている。

生前の拓朗さん(手前)=1995年(土田茂博さん提供)

 3月18日には市立城北中学校の剣道部を対象にスライドを上映した。政代さんは「一人一人が命を大事にしてほしい。剣道を通して強い体と心を培って」と語り掛けた。生徒からは「命の大切さを知った」といった感想があったという。

 贈呈式では竹刀に加え「少年と剣道」の絵本10冊も贈った。茂博さんは「伝統文化である剣道を絶やさぬよう竹刀を役立ててほしい」と話した。田端一正教育長は「頂いた竹刀を生かして子どもたちが良い学校生活が送れるよう努めたい」と感謝した。