コロナ終息願い獅子舞 八重瀬町志多伯の守り神


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迫力のある獅子舞で無病息災を祈願する区民ら=5日、八重瀬町志多伯の野呂殿内

 【八重瀬】八重瀬町志多伯区は5日、同区にある野呂殿内(どぅんち)と根屋で無病息災の祈願と、守り神「獅子加那志(ししがなし)」の獅子舞と舞方の演舞を執り行った。通常、五穀豊穣(ほうじょう)や無病息災のために毎年旧暦8月15日に行われるが、今回新型コロナウイルス感染の終息を願い、開催した。

 荘厳な雰囲気に包まれた野呂殿内には朝早くから区民ら30人ほどが集まり、野呂殿内にある獅子屋に眠る獅子加那志を運び出し、祈りをささげた。その後かぎやで風の演奏に乗せて知念誠一さん(43)が勇ましい舞方を披露し、神谷尚希さん(43)と神谷祐貴さん(35)が迫力のある獅子舞を見せた。

 神谷清一区長は「8月15日以外に祈願するのは300年の歴史で初めてだと思う。一日も早く天下太平を願い、御願した」と話した。

 志多伯獅子舞棒術保存会事務局長で組踊実演家の神谷武史さん(44)は「沖縄の獅子舞は天然痘など多くの犠牲者が出た時に演舞された芸能の一つ。区民と話し合いながら、十分な注意を払って実行した」と語る。尚希さんは「獅子頭の重みを感じながら悪疫退散、新型コロナウイルスに打ち勝つ思いで挑んだ」と力強く語った。

 獅子舞と舞方は午後に開かれた区民総会でも行われた。