高校野球中止に「できることに感謝」 夏に向け選手ら気持ち切り替え


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 高校野球の県春季大会が途中打ち切りとなった。開幕の繰り延べ、無観客での実施と対策を取って4強決めまでを行ったが、その間、県内でも感染者が増加。全国の地方大会で唯一開催されていたが、首都圏では緊急事態宣言によって生活への制限が予想されるなど、非常措置が新たな段階に入ったことも影響した。5月順延の代案も先行きが見えない中では採用とはならず、開幕前の申し合わせ通り、打ち切りを決定した。大会関係者は「最後まで戦いたいのはどのチームも同じ。運営側も戦わせたい。ただ、状況が状況だ」と胸の内を明かした。

 準決勝進出を決めていたチームには悔しさと同時に冷静な受け止めが広がった。沖縄工の國吉涼介主将は「長い間冬トレを頑張ってきたのに悔しい」と落胆は大きかった。それでも「シードはしっかり取れたし、実戦で課題も見つかった。初の甲子園出場に向けて切り替えていく」と意欲は失われていない。

 中部商は県内での感染拡大を受け、5日から練習を止めていた。3月の臨時休校時も活動を停止したが、自主練習でさほど影響はなかったという。奥田誠吾監督は「皆、目の色を変えて切磋琢磨(せっさたくま)している。夏は甲子園を目指す」と集大成を見据えた。

 日本ウェルネスを初の4強に導いた五十嵐康朗監督は「ここまでできると思わなかった。ここまで運営してくれたことに感謝している」と述べ、夏に向けて基礎から鍛え直す考え。

 宮古は準々決勝進出が決まってから島で激励金が集まるなど勝ち上がることで地元からの期待をより実感する機会となった。笠原秀太主将は「野球ができていることに感謝できる大会だった」と思いを新たに夏に目線を向ける。