埋め立て費用 58億増 2工区、工期1年超延期 新基地建設


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 【東京】名護市辺野古の新基地建設で、防衛省が現在埋め立てている二つの工区の工事費用が当初契約から約58億円増大していることが9日までに分かった。2017年度に計約259億円で契約を結んだが、ことし1月末までに複数回変更され、約317億円になっていた。今夏までとしていた埋め立て工期も来年9月まで1年余り延期されるなど、軟弱地盤が存在しないエリアの工事でも費用増大と計画の遅れが生じている。

 辺野古の海域では18年12月に辺野古崎近くの工区「(2)―1」で、19年3月にその左隣の工区「(2)」で埋め立て土砂の投入が始まった。これに先立ち、沖縄防衛局は埋め立て工事の契約3件を業者と計259億164万円で締結した。

 だがその後、契約変更が重なり、ことし1月末時点までに3件とも増額され、合計額は316億6156万円となっている。「計画調整」「現場精査」が理由だが、土砂調達額が増えているとみられる。

 2工区の埋め立て作業は予定より遅れている。「(2)―1」は20年3月に終了予定だったが、(2)の埋め立て着手時に20年7月に工期が延期された。20年8月までだった(2)の工期も、沖縄防衛局が昨年12月に21年9月までの延期を県に届け出た。防衛省は「現状を踏まえ見直した」としている。

 同省は大浦湾側に広がる軟弱地盤の改良工事に伴う再検討で、総工費に9300億円、県が計画変更を承認してから米軍の使用開始までに12年を要すると試算している。ただこれまでの経緯を振り返れば、当初の想定に反して費用や工期が拡大してきた事例は少なくない。今後も工事が続くに連れ、その傾向は一層強まりそうだ。