「子どもたちの体に何かあったら」 泡消火剤が普天間基地外に流出 住民から不安の声


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米軍普天間飛行場内から基地外へ流出する泡消火剤=10日午後6時11分ごろ、宜野湾市真栄原(金良孝矢撮影)

 【宜野湾】米軍普天間飛行場から有機フッ素化合物「PFOS」を含む泡消火剤が流出した10日夕、現場周辺には宜野湾市や沖縄防衛局の職員、警察、報道関係者らが集まり、一時騒然となった。隣接する保育園関係者や周辺住民は「怖い」と不安な表情を見せ、米軍基地に翻弄(ほんろう)され続ける現状に「どこをとっても危険が潜んでいる」と憤った。

 「泡が飛んでる!」。午後4時45分ごろ、同飛行場南側に接する第2さつき認定こども園(同市真栄原)には普段通り、保護者らが園児を迎えに来ていた。強風にあおられ、降ってくる白い泡に声を上げる園児たち。消火剤は住宅地に降り注ぎ、雨水用排水路から基地外に流れ出した。基地内では、米軍がMV22オスプレイの駐機場周辺で作業する姿が見られた。

米軍普天間飛行場内から流出した有機フッ素化合物PFOSを含む泡消火剤=10日午後6時13分ごろ、宜野湾市

 泡が降る様子を目撃した与那覇峰子園長(55)は「新型コロナウイルスの関係で消毒しているのかと思った。初めての出来事でとても驚いている」と身を震わせた。

 「子どもたちの身体に何か起きたら怖い」。近隣に住む島袋綾子さん(47)は、園児らへの影響を懸念する。夕方のニュースを見て駆け付けた近くに住む新垣善輝さん(64)も「いつものことだが米軍の管理はずさんだ」とあきれ顔。流れ続ける汚染水を見詰めながら「排水路の先には田芋畑がある。農家にとって深刻だろう」と案じた。

 市内の会社員、大城沙耶さん(28)は、PFOSは発がん性のリスクが指摘されていることを念頭に「地上には汚染水、空には米軍機とその落下物。宜野湾はどこをとっても危険が潜んでいる。子育て中なのでいろいろと心配が尽きない」と表情を曇らせた。