日米政府締結の環境補足協定に該当か 普天間消火剤漏出


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 米軍普天間飛行場からの泡消火剤流出事故を受け、県や宜野湾市は同基地への立ち入り調査を求めている。日米両政府は2015年に在日米軍基地に関する「環境補足協定」を締結した。この協定は基地内への立ち入りについて(1)環境に及ぼす事故(漏出)が現に発生した場合(2)施設・区域の返還に関連する調査―の際は日本の当局が手続きを作成すると定めている。米軍はこれまで、日本側による基地内の立ち入り調査を頻繁に拒否してきたが、今回は「現に発生」した漏出事故に当たる。

 ただ、環境補足協定は基地立ち入りに関する「手続き」を定めているにとどまる。日米地位協定に基づく米軍基地の「排他的管理権」により、結局のところ、立ち入りは米側の同意が前提となる。15年の締結以降、環境補足協定が適用された汚染事故に関する米軍基地への立ち入り調査はゼロとなっている。

 流出した泡消火剤に含まれる有害物質「PFOS(ピーフォス)」を巡っては、これまでも基地からの流出が疑われてきた。そのため県などは米空軍嘉手納基地や普天間飛行場への立ち入り調査を求めてきたが、米側は拒否してきた。

 PFOSは環境への残留性が極めて高い。これまで基地周辺で確認されてきた水汚染は、過去の事故で流出したPFOSが地下水などに蓄積していることに起因しているとみられている。

 汚染原因が環境補足協定に定める「現に発生」した事故に当たらず、米側が立ち入り調査を拒む根拠の一つだとみられていた。

 だが今回の事故は「現に発生」し、基地外に大量に流出した事案であるため、協定に基づく立ち入り調査に該当する可能性が高い。