いいかげんな米説明許す市の姿勢 普天間消火剤漏出 識者の河村雅美氏


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 今回の事故を受けて3点指摘したい。

 1点目は普天間基地がどのような状態にあるか、ということである。原則使用禁止の有害物質PFOSは格納庫の消火システムに保有されていることが私たちの調査により確認されたが、その事実は隠され、基地外に漏出する大事故が続けて発生した。今後もそのような事故が発生する可能性は否定できない。

 PFAS(有機フッ素化合物)が含まれる泡消火剤の禁止は2020年度の米国防権限法でも24年後となっている。改めてこの危険性を認識すべきだ。

 2点目は、対処にあたった宜野湾市消防署員の安全の件である。11日に現場を見たが、市消防署員のPFOS暴露が懸念される丸腰の状態であった。米国では消防隊員の暴露による健康被害も問題化されている。そのような情報は共有されているのか。消防署員が危険な状態にさらされる状態で米軍の不始末の処理をさせていることを日本政府は重く考える必要がある。

 3点目は、宜野湾市の問題である。市はPFAS汚染の汚染源を普天間基地と特定できないといって4年間放置してきた。湧き水の汚染は県や自治会任せにし、飲料禁止の看板を立てたのは、市民やメディアのプレッシャーを受けての昨年のことである。足元の市民を守ろうとしない姿勢は、米軍や日本政府にどのようなメッセージを送っているか考える必要がある。

 汚染の問題に取り組まない市の姿勢が、日米両政府に緊張感を持たせず、米軍のいいかげんな説明を許し、市民や消防隊員の安全に関わる事故を引き起こしている一因でもあることを認識すべきである。