[日曜の風]来県自粛要請 “コロナ後”へ備えよう


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 新型コロナウイルス感染症の影響で、外出自粛が沖縄でも呼びかけられている。玉城デニー知事をはじめ、これまで「沖縄に来て」と呼びかけていた人たちが、感染を防ぐために「沖縄に来ないで」と呼びかけている姿を見て、胸が痛くなる。

 私たちにとっても、家にずっといるのはストレスになる。特にスマホが発達しているこの時代、部屋でいちにち中、コロナ関連の情報を集め、不安を募らせている人も少なくないのではないか。そういう人たちに、私はいつもこう声をかけている。

 「この感染症の拡大は、いつか必ず終わる日が来ます。そのあともあなたの人生は続くんです。こころと体調をしっかり整え、その準備をしておきましょうね。」

 たとえば、スイミングが何より好き、という人がいたとしよう。その人にとっては、プールに行けない今は、なんの生きがいもない毎日だと思う。やけっぱちになって、家でお酒を飲んだり甘いものばかり食べたりしているかもしれない。

 でも、コロナの脅威はいつか終わる。良い治療法が見つかり、プールが再開される日は必ず来るのだ。

 もしそのとき、筋肉は落ち体力もなくなり、前のように泳ぐことができなくなっていたら、どうだろう。自分に失望し、好きだった趣味が苦痛になるかもしれない。

 だから、家にいなければならない今も、いつでもその日のために筋トレをしたり規則的な生活を送ったりして、備えておく必要があるのだ。

 観光や交通に関連した仕事の人は、よりしんどい毎日だろう。国には十分な休業補償を求めたい。その一方で、いつか来る“コロナ後”の日のために、いろいろとアイデアを考えておいてほしいと思う。

 「もうダメだ」とあきらめる必要はない。「さあ、またスタートだ」という日のために、自分を整え、備えをしておこう。

(香山リカ、精神科医・立教大教授)