「やっぱり来たか」 石垣・名護で初の感染者 病床少なく「医療崩壊」に募る不安


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 【名護・石垣】病床数に限りがある沖縄県名護市と石垣市で12、13の両日、新型コロナウイルスの感染者が相次いで確認された。北部や離島の感染は初めて。患者が急増した場合は地域医療に影響を及ぼす可能性もある。医療関係者は「医療崩壊につながりかねない。地域の医療を維持するための対策が必要だ」と危機感を募らせる。

 石垣市は3月に島外からの観光客が目立ったこともあり、市民からは「やっぱり来たか」との声が相次いだ。医療設備や人員は限られ、小さな島で感染が一気に広がることも懸念される。前里将太郎さん(37)=漁業=は「観光客が押し寄せていた時にはいずれ出るかなと思っていたが、それが現実になってしまった。島は狭いので、病院で受け入れられる人数を超えないかが一番の心配だ」と話した。

 感染確認した名護市の女性は無症状で、感染者と接触後も8日間にわたり出勤していた。女性が勤務する「桃源の郷」は消毒などのため13日から15日までの休業が決まった。施設関係者は「入所者に不安が広がらないようにしたい」と困惑する。デイケア利用者の家族は「何事もなければいいが」と言葉少なに話した。

 北部地区で新型コロナ感染者が入院可能なのは県立北部病院の2床、八重山地区は県立八重山病院の3床のみ。今後、感染者の受け入れ数を増やすことも検討されているが、医療資源は限られている。本部町内の老人ホームを管理する男性は「(施設内に感染者が出たら)パニックに近い状態になると思う。さらに感染者が出たら北部の病院が受け入れてくれるのか心配だ」と吐露した。