県内経済「後退局面に入っている」 新型コロナで日銀、雇用や所得の「亀裂拡大」


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 日本銀行那覇支店(桑原康二支店長)は15日に発表した県内金融経済概況(主要指標2月)で、県内景気は観光や個人消費などの面で「新型コロナウイルス感染症の影響が一段と広範化している」として、基調判断を引き下げた。基調判断の下方修正は、リーマンショックの影響を受けた2009年12月以来、10年4カ月ぶり。また、同支店は、感染症の影響で変化が大きく捉えきれないとして、記録が残る1994年1月以降で初めて現状の基調判断を示さなかった。

 同支店は3月まで、78カ月(6年6カ月)連続で県内景気の基調判断を「全体として拡大している」としていた。現状の県経済について「県経済は景気の後退局面に入っている」との認識を示した。基調判断の下方修正の背景として、製造業が少ないという県内の産業構造が、他地域に比べても感染症の影響を受けやすいことなどを挙げた。

 感染症の拡大を受けて、基調判断の要件となる所得や雇用の面でも影響が徐々に出始めている。桑原支店長は「(雇用や所得は)現時点では大崩れしていないが、亀裂が入っている。その亀裂が日々拡大している」との見解を示した。