泡消火剤流出「断じて容認できず」 県議会特別委、全会一致で初の委員長声明


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米軍普天間飛行場から流出し、住宅地に迫る泡消火剤=11日、宜野湾市大謝名

 県議会米軍基地関係特別委員会(仲宗根悟委員長)は16日、緊急で委員会を開き、米軍普天間飛行場から有機フッ素化合物のPFOSを含む泡消火剤が流出・飛散した事故について抗議する委員長声明を全会一致で決定した。声明は「誠に遺憾で断じて容認できない」とし、原因究明や再発防止を求めている。

 委員会後、仲宗根委員長が記者会見し、声明を読み上げた。新里米吉議長も同席し「全会派が賛成しているので本会議を開いても全会一致になる。事実上、議会全体の決定だ」と強調した。県議会事務局によると、委員長声明は初めて。

 仲宗根委員長は昨年12月にも普天間飛行場からPFOSを含む泡消火剤が漏れ出る同様の事故が発生していたことに触れ「再び発生した流出事故に県民の憤りや不信感は増幅するばかりだ」と指摘。「米軍が流出現場に訪れたのが翌日だったことから、事故への認識の低さや対応の遅さにも不満が高まっている」と訴えた。

 声明は、(1)原因究明と公表、米軍と日本政府の責任を明確にし再発防止策を講じること(2)汚染範囲の特定と除去作業、地域住民や対応した宜野湾市消防職員らの健康調査(3)立ち入り調査の迅速な実施に向け日米地位協定を改定し国内法を適用させること(4)普天間飛行場の運用停止、閉鎖・撤去―の四つを求めている。

 宛先は沖縄防衛局や外務省沖縄事務所、米海兵隊、在沖米総領事館の代表ら。同委員会は来週、県内の各機関を訪れて声明を提出する方向で調整している。

コロナ対応、本会議には出さず

 16日の県議会米軍基地関係特別委員会は新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、本会議に抗議決議や意見書の案を提出せずに委員会のみで委員長声明を決定した。県議会事務局によると、過去に議長声明はあるが委員長声明は初めて。

 本会議で大人数が密集し感染リスクが高まるのを防ぐために委員会決定でとどめた。委員会も座席の間隔を広くするため、普段より大きい部屋に変更し開催した。県側の説明員も最小限にし、傍聴も自粛を求めた。

泡消火剤基地外流出 軍特委員長声明要旨

 4月10日、普天間飛行場の格納庫で消火システムが作動し、有機フッ素化合物のPFOSを含む泡消火剤が放出・飛散し、側溝を通じ宇地泊川に大量に流出した。泡消火剤は風にあおられ住宅地や保育園にも飛散し、県民に大きな不安と混乱を生じさせた。

 PFOSは発がん性などの健康リスクが指摘され、国内では使用・製造が禁止され世界的にも使用制限や廃絶の動きにある。米軍は2016年以降PFOSを使用していないと説明していたが、昨年12月にもPFOSを含む泡消火剤の漏出を起こした。再発に県民の憤りや不信感は増幅するばかりだ。

 米軍の事故に対する認識の低さや対応の遅さにも不満が高まっている。事件・事故の度に原因究明や再発防止、管理体制の徹底を強く要請してきた。事故発生は誠に遺憾で、断じて容認できない。

 下記事項を求める。

1 原因を徹底究明し県民に明らかにするとともに米軍と日本政府の責任を明確にし再発防止策を講じること。

2 汚染範囲の特定と速やかな除去、地域住民や宜野湾市消防士らの健康調査。

3 迅速な立ち入り調査に向け、日米地位協定を改定し国内法を適用させること。

4 普天間飛行場の運用停止、閉鎖・撤去。