見通し甘く、対応も遅れ 新型コロナで県 水際対策が後手、市中感染拡大


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 政府の緊急事態宣言が16日に沖縄を含む全国に出され、17日には県内の新型コロナウイルス感染者の総数は100人を突破した。対応が注視される中、玉城デニー知事は「今まで以上にさらなる取り組みの強化を図る必要がある」と述べるだけで具体策の提示はなかった。

 感染者数が日を追うごとに増え、急速な景気悪化による県経済への打撃がこれまでにないほど深刻化する中、県庁内の見通しの甘さや対応の遅れが際立つ。

 県内の感染者数は3月下旬以降、県外からの「移入例」が増加。4月以降は2次感染や感染経路が不明な患者も急増し、16日に初めての死亡者も発表された。一方、国内航空便の到着客の体温測定を行う県のサーモグラフィー設置は那覇空港が今月9日、新石垣空港、宮古空港が同10日で水際対策は遅れ、市中感染は既に広がっている。

 3月27日に設置した対策本部は知事を本部長に部局長が参加する会議を開催しているが、医療福祉分野だけでなく、各部局が当事者意識と危機感を持って対応しているか疑問が残る。

 緊急事態宣言に基づき、知事は法的根拠を持って外出自粛を要請したり、店舗などの使用制限を指示できる。感染者が増加を続ける一方、国際通りなどは既に「シャッター通り」となり、事業者からは悲鳴の声が上がる。

 感染を抑え込み、経済への打撃を食い止めるため、知事のリーダーシップと現状に即した早急な対策が求められる。

 (座波幸代)