「世間体もあり‥」 緊急事態下で営業継続に悩み


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客と従業員の健康と安全に気を配りながら仕事をする下地雅寛さん(右)=17日、那覇市牧志のアンダーグラウンド(ジャン松元撮影)

 不要不急の外出自粛や店舗などに休業要請が可能となる緊急事態宣言の対象地域が全国に拡大したことを受け、玉城デニー知事は17日、週明けにも具体的な方針を示すと明らかにした。「世間体もあり、閉めざるを得ない」「営業継続の判断が正しいか悩む」。新型コロナウイルスの感染拡大に翻弄される県内の関連事業者は、営業を続けるか否かで頭を抱える。

 那覇市牧志。一銀通り沿いの美容室「underground」代表の下地雅寛さん(47)=那覇市=は県の動向にやきもきする。東京では美容室と理容室は休業要請の対象になると思われたが、結局は対象外となった。沖縄では対象になるか決まっていないが「1週間前から予約が一気に減った。休業要請がなくても閉めるかもしれない」と苦しい胸の内を明かす。コロナ関連の特別貸付の利用を検討しているが「結局は返済しないといけないので厳しい」と語る。

 那覇市松山で居酒屋「石庭」を経営する田畑克典さん(36)は営業を続けているが、3月以降は売り上げが8分の1程度まで落ち込んだ。「従業員の雇用を守りたいし、終息後に営業を再開できるよう休業や解雇はしていない。だが店を開けるほど赤字が膨らむ。従業員の感染リスクもあり、自分の判断が正しいのかも悩む」と苦しい表情を浮かべた。休業要請の対象になった場合は「受け入れるしかないし、その方が気は楽だ。だが働く人の生活が保障されることが必要だ」と話した。

 本島南部で塾を経営している男性は少人数学習をするなどの対策をしてきたが、県内感染者の急増を受け、オンライン学習に切り替えた。緊急事態宣言後も継続するという。ただ「学校が休みで口コミが広がらず、新規生徒がなかなか入ってこない」と悩む。「政府の10万円一律給付のニュースで少し安心した。夏まではなんとかやっていけそうだが見通しがつかない」と不安げに語った。