県が防衛局へ行政指導 辺野古工事中止を ジュゴンの鳴き声確認で再評価必要


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名護市嘉陽沖で確認されたジュゴン=2008年3月(ヘリから撮影)

 宜野湾市の米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古での新基地建設工事について、県は17日、沖縄防衛局に工事の停止を求める行政指導文書を送った。今年2月、工事が進められている大浦湾で、絶滅の恐れがあるジュゴンの鳴き声が確認されていたことから県は、防衛局に対して工事の停止のほかに工事によるジュゴンへの影響を再評価することなども求めた。

 沖縄近海ではこれまで、3頭のジュゴンの生息が確認されていたが、昨年3月に1頭が死んでいるのが見つかった。また残り2頭も姿が確認されていない状況が続いている。

 しかし今年2月の防衛省の調査で、計3日にわたり、工事現場近くの水中でジュゴンの鳴き声が録音されていた。鳴き声が確認されたのはいずれも工事が休止している日で、県はジュゴンが休工日にえさ場を求め来遊していることが示唆されるとしている。しかし防衛局は鳴き声が確認されたあとも工事を継続している。

 この日、記者会見した玉城デニー知事は「(防衛局は)1年以上ぶりにジュゴンの鳴音が録音されたことを重く受け止め、南西諸島のジュゴンを最大限保護するという姿勢を示す必要がある」と訴えた。