就活「売り手市場」コロナで一変 大手ずれこみに中小企業警戒


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 沖縄県内主要企業へのアンケートで、新型コロナウイルス感染症の影響で2021年度新規採用日程を変更する企業は、検討中を含めて29社のうち14社を数えた。感染リスクを避けるため例年のような学生と対面した企業説明会や選考・面接試験が持てず各社は対応に苦慮するほか、選考・採用スケジュールがずれ込む動きが出てきた。

 21年春卒業予定の大学生などの採用活動は3月1日に始まったが、合同企業説明会のほとんどが中止になるなど新型コロナの影響が出ている。学生との接点が減少する企業側はインターネットでの発信強化やウェブ選考への切り替えを進めるが、「学生に会社をどうアピールするか」(大米建設)「競合他社や学生の動向がつかめず、どのタイミングで内定を出すべきかが読めない」(沖縄コカ・コーラボトリング)など手探りが続く。

 学生が企業の社風などを肌で感じる機会が減り、知名度の低い中小企業にとっては情報が十分に届かずミスマッチが発生する恐れもある。

 また、例年は4~5月には内定を決める大企業の採用スケジュールが遅れることで、中小規模の多い県内企業には「大手企業と試験日が重ならないか気になる」(オキコ)と影響を警戒する意見もある。

 新型コロナの影響が具体化する前は、全国的にスケジュールを前倒しする傾向があった。県内企業も、長引く人手不足から採用意欲は高く「売り手市場」が続くとみられていた。

 しかし新型コロナによって収益は急減し、観光業や飲食業を中心に休業や社員の自宅待機を余儀なくされている企業も多く出ている。影響が長引けば中小企業を中心に採用を控えることが懸念される。

 全都道府県に緊急事態宣言が発令され、学校休校や外出自粛が続く。学生が就職で不利益を受けないために、公平な機会を確保する環境整備はもちろんのこと、業界団体や学校、行政など関係機関が情報を密に共有し、学生と企業の双方を支援する対応が求められる。