3月初旬からハワイは緊急措置 未発症の段階から「非常事態」


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 世界的な新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、沖縄と同じく、観光を基幹産業とした“島国”である米ハワイ州では州政府が住民の健康と安全を守ろうと、早期の段階からさまざまな対策を講じている。州政府などの権限は日本、沖縄とは違うものの、観光客・渡航者が多いことに危機感を持って感染拡大防止に向けた非常事態を宣言し、渡航自粛や休業の要請、外出禁止などの措置を次々と実施している。

 ハワイ州保健局によると、18日時点の累計感染者数は574人、回復者数は410人で死亡者は9人。3月中旬の感染者急増を経て、まだ予断を許さない状況だが4月の新規感染者数は減少傾向にある。

 ハワイでは、州在住者の発症例がゼロだった3月5日の時点でイゲ州知事が非常事態宣言を発表した。物資や備品購入に必要な州予算の支出や災害援助の提供など、新型コロナウイルスによって起こり得るさまざま事態に迅速かつ効率的に動くための措置を取り、災害緊急援助期間を同日から4月29日までと設定した。

 14人の感染者が確認されていた17日には非常事態宣言の追加措置を発表し、米国内外問わず旅行者のハワイ州への渡航を30日間控えるよう要請。空港などで体温測定と面談のスクリーニングを開始するとし、住民らに対して(1)10人以上の集会の自粛(2)バーやクラブの閉鎖(3)飲食店は出前やテークアウト、ドライブスルーのみの営業に移行(4)映画館や娯楽施設、観光施設の休業―などを求めた。行政、民間に可能な限りのテレワーク勤務を呼び掛けた。

 その後、米国内で初めての措置として、26日から住民や州外からの渡航者に州外からハワイ到着後14日間の自己隔離を命じる新たな措置を発表した。

 25日から4月30日まで薬の手配や医療機関の受診、食料購入など以外の不要不急の外出禁止令を発令し、4月1日からオアフ、カウアイ、ハワイ、マウイの各諸島間を移動した住民や渡航者にも14日間の自主隔離を義務付けている。

 また、州内の85ホテルが医療従事者向けに無料で部屋を提供するプログラム「ホテル・フォー・ヒーローズ」を開始。医療従事者とその家族の健康を守るのが目的で、州政府はこのプログラムに1泊85ドルを補助する。
 (座波幸代)