沖縄知事、医療支援「特定警戒地域並み」国に要請へ 医療マスク優先配分へ


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玉城デニー知事

 特定警戒都道府県に指定するよう政府に要請するとした玉城デニー知事は20日の会見で、離島県の沖縄は既に特定警戒地域の自治体と同様に厳しい情勢だとの認識を示した。医療資機材の優先確保や広域的な医療体制への支援、一層の感染拡大防止策の推進を政府に求める考えだ。特定警戒地域の対象になれば、政府が創設する総額1兆円の臨時交付金の配分が増える見通しだ。ただ、現時点で政府は、そのほかに方針は示しておらず、先行して指定された自治体は「現在のところ変化はない」としている。

 玉城知事は会見で、4月に入り感染者が1日当たり約5・6人確認されていると強調。「このように『倍倍倍』で増えていくと、病院のベッドもすぐに満杯になる。それに伴う取り組みを国に求めるとともに、県でも病院関係者と一体となってさらに努力する」と話した。

 政府は先行して緊急事態宣言の対象とした7都府県のほかに、北海道、茨城県、石川県などの6道府県を加えて13都道府県を同地域に指定している。当初の緊急事態宣言で対象になり、その後に特定警戒地域にも指定された福岡県の担当者は、琉球新報の取材に対し「指定を受けたことで新たに実施していることはない」と述べた。新型コロナウイルス特措法の条文に同特定警戒地域に関する規定はない。担当者は「福岡県は緊急事態宣言に基づき13日に企業へ休業要請を出した。特定警戒地域になって何ができるかは国から明確に示されていない。当面は今までの自粛要請を続けていくしかない」と話した。

施設制限も制限可能に

 【東京】全国に緊急事態宣言を拡大した政府は、「特に重点的に感染拡大の防止に向けた取り組み」が求められる自治体を特定警戒都道府県に指定している。現在、東京や大阪、北海道、福岡など13都道府県が対象となっている。医療用マスクが優先配分されるなど重点的な対策を政府が進める。

 制度に法的根拠はないものの、感染者の累計報告数が100人を超えたり、そのうち感染経路が不明な人が半数を超えたり、感染者が倍増する期間が短かったりするなど、急速な感染拡大が懸念される地域を指定している。

 指定すれば、政府の基本的対処方針に基づき、都道府県は感染拡大につながる恐れのある施設の使用を制限する要請や指示のほか、企業に対するテレワークの実施などをより強く求められるようになる。

 厚生労働省は当初緊急事態宣言を出していた7都府県に加え、新たに特定警戒都道府県に加わった6道府県へも、医療用マスクを追加配布する方針だ。

 西村康稔経済再生担当相は、国が地方自治体に配る合計1兆円の臨時交付金について、特定警戒都道府県の13都道府県には優先配分する方針だ。

 特定警戒都道府県で一部のファストフードチェーンが店舗で客席利用を終日中止するなど、従来より厳しい対応をする施設も出ている。

 菅義偉官房長官は20日の会見で、沖縄の指定について、外出自粛呼び掛けの効果を見極めるほか、「基本的対処方針等諮問委員会」の議論を踏まえて判断する考えを示した。