流出泡消火剤 PFOS以外も高濃度 13種類を選び調査


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米軍普天間飛行場から流出し、住宅地まで飛散する泡消火剤=11日午前8時12分ごろ、宜野湾市大謝名(金良孝矢撮影)

 【宜野湾】米軍普天間飛行場から流出した泡消火剤を含む水から高濃度の有機フッ素化合物が検出された。国や県、宜野湾市は21日に同飛行場に立ち入り、事故の状況を調べた。国や県、米軍は水質調査も実施しており、原因の徹底的な究明と再発防止が強く求められている。米軍基地由来であることが明確な今回の事故を受け、日本政府が米国に対し、どこまで毅然(きぜん)とした態度で臨むか、注目される。

 米軍普天間飛行場から泡消火剤が流出した事故を受けた本紙の調査で、国内で規制されているPFOSやPFOA以外の有機フッ素化合物も高濃度で検出された。有害性と人体に蓄積される性質が指摘されている有機フッ素化合物PFHxAは宇地泊川で1リットル当たり216・4ナノグラム、泡が付着した水たまりで同153・6ナノグラムと突出している。

 有機フッ素化合物は4千種類以上あるとされ、実態が解明されていない種類もあるものの、今回の調査では有害性が指摘されている物質も検出された。最大で1リットル当たり39・3ナノグラムが検出されている有機フッ素化合物PFHxSもPFOSの代替物として普及した物質だが、有毒性を解明する研究が進み国際的な規制が議論されている。

 日本では法整備が遅れており、現状ではPFOS・PFOAの2種類のみを規制対象にしている。

 在日米軍施設での環境保全を定めた日本環境管理基準(JEGS、2018年版)でも、報告義務のある有害物質リストにPFOSは含まれるが、PFOAやPFHxS、PFHxAなどは明記されていない。米軍はその他の物質の記載がないことを根拠にPFOSのみを通報したとみられる。

 有機フッ素化合物のうち、京都大の原田浩二准教授が泡消火剤に使われている可能性が高いとして13種類を選定し値を調べた。

 原田氏によると、消火剤としての性能を上げるために多種類の有機フッ素化合物を混ぜる場合があるという。


<用語>PFOS・PFOA
 有機フッ素化合物の一種。発がん性などが指摘され、PFOSは残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)で国際的に製造・使用が制限され、国内でも一部例外を除き原則的に使用・製造が禁止されている。PFOAは世界保健機関(WHO)の外部機関が発がん性の恐れがある物質に指定し、主要な化学メーカーが既に自主的に使用を廃止している。物質としての安定性が高いため、環境中でほとんど分解せず、生物中に蓄積することが懸念されている。