基地の環境汚染 実績つくり不断に追及を 識者の田代、河村氏


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「包括的追及」が重要/河村 雅美氏(インフォームド・パブリック・プロジェクト代表)

河村 雅美氏

 これまで県が調査してきた項目以外のPFHxAが高い値で検出されていることに着目したい。PFHxAも泡消火剤に用いられてきた有機フッ素化合物の一つであり、PFOSやPFOAの危険性が指摘されてから、代替として製造・使用されてきた。

 だがPFHxAは環境と人体への悪影響から、ドイツでは規制に着手している物質だ。難分解性や地下水も含む水環境での移動性の高さ、除去の難しさなどが指摘されている。土壌汚染では植物への吸収も確認されているようだ。

 PFOSなど原則禁止の有害物質も基地内で保有・蓄積されて基地外に地下水から浸出する。後発の有機フッ素化合物も事故で基地外に悪影響を与えるという、小さな島が過去と現在両方の有害物質にさらされている現実が改めて浮き彫りとなった。今回新たに判明したこの現実を踏まえ、漏出事故および基地内に蓄積されたPFAS汚染の問題をどう包括的・長期的に追及していくか、県と関係市町村は戦略的に取り組む必要がある。立ち入り調査はあくまでも入り口にすぎない。事故の早期収束や環境補足協定による立ち入り実現という日米の実績づくりでこの問題を終結させない姿勢が重要だ。

流出続いた可能性も/田代 豊氏(日本環境化学会評議員)

田代 豊氏

 大量の泡が流出した宇地泊川(比屋良川)で採取した水は、流出から2日たっているが高い数値が出ている。流出直後はもっと高かったと推定できる。今回の水質調査では、この点が重要だ。流出がすぐには止まらなかった可能性がある。いつまで続いたのかはっきりさせた方がいい。

 比屋良川公園より下流の地下水路では流出から3日たっても、PFOSとPFOAの合計値が国の指針案の1リットル当たり50ナノグラムに達している。周辺に付着していた泡消火剤が残っていたと考えられる。影響が数日間続いていたことが分かる。

 泡が付着した水たまりでもPFOSとPFOAが検出されている。飛んできた泡が原因とみられ、他の4地点とは違い、周辺住宅地の住民への影響が懸念される。

 海の生物など環境に及ぼす影響については、すぐに判断するのは難しい。
 (環境科学)