原則禁止のPFOS 環境省が近く目標値 超過はしても罰則なし


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米軍普天間飛行場から流出し、住宅地まで飛散する泡消火剤=11日午前8時12分ごろ、宜野湾市大謝名(金良孝矢撮影)

 米軍普天間飛行場から漏出した泡消火剤に含まれ、有害性が指摘される有機フッ素化合物PFOSは国際的に使用が規制され、国内でも原則的に使用・製造が禁止されている。近年国内外でPFOAを含め規制の暫定目標値が策定されるなどの動きが出ている。

 環境省の諮問機関・中央環境審議会の専門委員会は3月末、県内の米軍基地周辺でも高濃度で検出されている有機フッ素化合物の暫定指針値として、PFOSとPFOA合わせて1リットル当たり50ナノグラムとする案で合意した。今後、パブリックコメント(意見公募)の実施や中央環境審議会水環境部会の審議を経て近く正式に決定する。河川や地下水で基準となるが、超過しても罰則などはない。

 一方、米環境保護庁(EPA)は昨年末、地下水汚染を判断する暫定的な指標として1リットル当たり40ナノグラムと定めた。この値を超えて有機フッ素化合物が検出された場合、浄化に向けた再調査の実施が必要となるとしている。しかし実施に対する法的拘束力はない。この指標はPFOSとPFOAの2種類のみが対象で、PFHxSなどほかの有機フッ素化合物は含まれていない。


<用語>PFOS・PFOA
 有機フッ素化合物の一種。発がん性などが指摘され、PFOSは残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)で国際的に製造・使用が制限され、国内でも一部例外を除き原則的に使用・製造が禁止されている。PFOAは世界保健機関(WHO)の外部機関が発がん性の恐れがある物質に指定し、主要な化学メーカーが既に自主的に使用を廃止している。物質としての安定性が高いため、環境中でほとんど分解せず、生物中に蓄積することが懸念されている。