立候補予定者の訪問「困る」「ウイルス感染怖い」 緊急事態宣言下・県議選前の政治活動に苦情


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県議会事務局が現職県議向けに送った政治活動に関して留意を呼び掛ける文書

 「県議選を前に県議や市議の妻など、関係者の自宅への訪問が増えている。私は高齢なので新型コロナウイルスの感染が怖い。会うのを断りたいが、それができずに困っている」。6月7日投開票の県議選を前に、宜野湾市の高齢女性からりゅうちゃんねる取材班に情報が寄せられた。こうした県民からの苦情を受け、22日に県議会事務局が各会派へ「留意」を呼び掛ける異例の措置を取ったが、翌23日も議会事務局に同様の苦情が届いた。緊急事態宣言下で立候補予定者のモラルが問われる状況となっている。

 「あちこちの家を回っているはずだから感染リスクは高い」。高齢女性はこう話し、現職県議の関係者が自宅を訪れる「政治活動」を疑問視した。

 同様の苦情は全県で相次いでいる。19日、那覇市首里地域の男性自治会長(83)宅に新人の立候補予定者が「自治会長に会わせてほしい」と訪れた。マスクをせず、面識もないことから、自治会長の妻(80)は「夫は気分が優れず休んでいる」と断ったが、この立候補予定者は後援会の入会カードを置いていったという。自治会長の息子(53)は「高齢者宅にマスクもせず、いきなり訪れるのは、このご時世で不謹慎だ」と話す。自治会長宅には別の新人立候補予定者の訪問も4月上旬にあったという。ある新人立候補予定者は「政治活動として去年から地域を回っていたが、感染を恐れる県民のことを考慮してやめた」と語った。

 沖国大の照屋寛之教授(政治学)は「今回の県議選は緊急事態宣言下にあり、従来の選挙と違うと認識しないといけない。一方で選挙は民主主義の根幹であり、各会派や各政党で申し合わせをするなど、感染を警戒する有権者の目線に立って考えてほしい」と語った。