夢舞台消え「頭が真っ白」インターハイ初の中止 高3選手ら無念の声


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昨夏に沖縄を含む九州4県で行われた南部九州総体の総合開会式。ランの花を持ち、入場行進する沖縄選手団=2019年7月27日、鹿児島県の鹿児島アリーナ

 高校生スポーツの最大の祭典である全国高校総体(インターハイ)の史上初の中止が決まった。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、全国高等学校体育連盟(全国高体連)は26日、今夏に21府県で開催予定だったインターハイの中止に踏み切った。部活動の集大成となる夏に向け、自らの限界に挑み続けてきた沖縄県内の3年生には「仲間と全国を目指せず悔しい」とやりきれない思いがあふれた。「大学にアピールする機会が減ってしまう」と進路への影響を懸念する生徒も。指導者や保護者も「なんと声を掛けていいか分からない」と落胆が広がった。夏で部活動を引退する選手も多く、延期が決まっている県総体の開催を望む声も多く聞かれた。

 「3年生のインターハイは一生に一度しかない。頭が真っ白の状態です」。前原空手部の新屋乙葉は、涙声でそう語った。今春離任した田村正人教諭に結果で恩返しすることを部員全員で誓っていたが、全国選抜に続き全国総体も中止に。「最後に皆でできないのも悲しい」と声を詰まらせた。

 相撲一家に生まれた中部農林相撲部の木﨑誠仁にとって、全国総体は「小学生の頃から夢見てきた舞台」だった。

 休校で土俵で練習ができなくても、全国を目指して自宅で四股を踏み続けてきた。「全国優勝したかった」と残念がる。「今できることをやってる人が勝ち上がる人になれる」と国体に向けて切り替えた。

 興南男子バスケットボール部の名城伶真主将は「同級生とプレーできる時間は限られている」と肩を落とす。名門だが入学して以降、全国の舞台を踏めていない。「初の全国の場にしたかった」とやりきれない思いだ。大学1部の強豪への進学を希望しており「全国でアピールするチャンスが減ってしまう」と進路への影響も気に掛けた。

 「全国で勝負できる足はできていた」と調子を上げていたのは、北中城自転車部の玉城翔太主将。3月の部内記録会で、昨年インターハイの7位と同程度のタイムを記録していただけに「大会の中止は悔しい」とつぶやく。それでも「インハイだけが全てじゃない。将来は実業団や海外のチームでロードを走りたいので、自力でアピールしていく」と力を込めた。