労働者支援 拡充必要 求人倍率・失業率最下位 コロナ影響顕著


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 今年1~3月期平均の完全失業率と有効求人倍率で沖縄は全国最下位に転じた。沖縄労働局も2カ月連続で判断基調を引き下げ、新型コロナウイルス感染症が県内雇用情勢に与える影響が顕著になりつつある。

 公共職業安定所(ハローワーク)などによると、県内の就職支援や労働相談窓口には、県経済が好調だった2月ごろまで、より良い労働条件を求めて相談に来る求職者が多かった。しかし、3月末からは新型コロナウイルスの影響を受けて「勤め先が休業後、しばらくして廃業になった」といった相談や「仕事が減って収入がない。生活できない」といった相談が多数寄せられている。

 労働局や労働組合などの各種相談・支援窓口では、受給に時間を要する雇用助成金と融資を併用した上で、事業者に雇用の維持を呼び掛けている。

 一方、雇用調整助成金は添付書類や記載事項が減るなど簡素化したものの、社会保険労務士らは「中小零細企業はそもそも、提出に必要な書類を完備していないのではないか。だから助成が必要でも手続きできない」という傾向を指摘している。支援を得るための手続きが煩雑であることも、雇用情勢悪化の一因とみられる。

 新型コロナウイルス感染症は終息が見えず、資金繰りに苦しむ中小零細企業が多い中で、今後、不当な解雇や減給が増えることも予想される。労働者を守るため、現状の支援に加えて生活や再就職など、さらなる支援が求められている。 (比嘉璃子)