総体中止の波紋(中)救済措置どうする 県内独自開催を模索


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 全国高校総体の中止を決めた全国高体連は関係機関に「最終学年の生徒の部活動成果の発表の場や大会設定などについて検討、配慮をお願いする」との通達を出した。各都道府県高体連が所管する地方大会での救済を求める異例の措置と言えるが、どうにか高校生に活躍の場を担保したいとの思いの表れだ。沖縄県高体連内に各競技で設置されている専門部の中には県総体が開催されなかった場合を想定し独自開催を目指すところも出てきた。会場予約など課題は多いが「何かしら生徒の力が発揮できる場所を」と指導者や競技団体が知恵をめぐらせている。

県総体、史上初の延期を発表する県高校体育連盟の上地勇人会長=22日、那覇市奥武山町の県体協スポーツ会館

■延期も課題山積

 全国総体の中止決定4日前に県高体連は県総体を延期して開催を模索すると決めた。全国でも早い判断を受け、各競技専門部は会場確保や日程の調整などの準備を始めることができた。

 ただ、全国総体の中止で県高体連は中止の是非を再検討することになるため、振り出しに戻る格好となった。改めて県高体連の判断を待つソフトボールの渡口竜次専門委員長(名護)は「まずは高体連の判断が出てからでないと」と頭を抱える。

 ソフトボールは昨年、男子読谷が32年ぶりに全国総体で優勝(4校同時)。さらに昨年の全九州秋季で女子コザが初優勝し、今年は男女とも全国上位入賞が期待されていた。県総体の冠を使った大会が開けるのか、中止して代替の大会で対応するのか。渡口専門委員長は「一番は県高体連がガイドラインみたいなのを示してもらえると動きやすい」と要望を添える。

 ある専門部は開催可否に関する指導者アンケートを実施。「五輪、全国総体がなくなった今、リスクを冒してまで開催できるのか」との意見もあり、統一見解のまとめに苦慮している部分もある。接触が伴う競技では感染リスクは避けられず、終息せずに実施は無理とみている専門部もある。

 夏休み明けから新人大会も始まる。多くの競技で県総体開催は「8月末までが限度」とみられている。臨時休校に伴い変更される学校行事との兼ね合いや会場、人材の確保など開催に向けて課題は多い。

■独自開催を模索

 県総体の中止もあり得るとして、独自の大会実施に前向きな競技もある。自転車の山本正英専門委員長(北中城)は「県総体の記録を進路に生かしたい。もし県総体が中止になっても、記録会を開きたいと考えている」と生徒の救済策に考えを巡らせる。

 ロードは集団で道路を走るためコロナ禍での開催は厳しいとみるが、トラックであれば感染の収まり状況次第で「1人ずつ離れて測れば実施できるのではないか」と推測する。選手のモチベーション維持にも気をもみ、大会の開催や進路について生徒には「手を尽くすから心配するな」と言い聞かせている。

(上江洲真梨子、長嶺真輝)