普天間流出の泡、海域にも高濃度有害物 河口周辺調査


この記事を書いた人 Avatar photo 宮里 努

 【宜野湾】米軍普天間飛行場から発がん性などが指摘されている有機フッ素化合物(PFAS)を含む泡消火剤が10日に宜野湾市の宇地泊川などへ流出した事故を受け、日本環境化学会評議員の田代豊氏は流出事故翌日の11日、川の河口周辺で海水を採取し、専門家に分析を依頼した。分析の結果、有機フッ素化合物PFOSとPFOAの合計値は1リットル当たり最大255.4ナノグラムで、地下水汚染を判断する米国の暫定指標値40ナノグラム(1リットル当たり)の6倍超だった。河川だけではなく、沿岸海域にも汚染が広がった実態が浮き彫りになった。 

 田代氏は11日午後0時半から午後2時まで、宇地泊川河口周辺の3地点で海水を採水し、京都大の原田浩二准教授(環境衛生学)に分析を依頼した。

 今回の最大値は、環境省の諮問機関・中央環境審議会の専門委員会が河川などの暫定指針値として提案している1リットル当たり50ナノグラムの5倍に上る。琉球新報が12日に宇地泊川で採取したPFOSとPFOAの値1リットル当たり247.2ナノグラムより、8.2ナノグラム高かった。

 最も値が高かったのは、宇地泊川の河口西側の沿岸。河口から約1.5キロ西の沿岸では36.1ナノグラムだった。一方、河口東側の沿岸ではPFOAは検出されたがPFOSは検出されなかった。いずれの地点もPFOAの値が高い。同じく有害性などが指摘されているPFHxSやPFHxAも検出された。

 気象庁によると、事故が発生した10日夕方から11日午後にかけて那覇では、主に東や東北東、東南東から平均3~8メートルの風が吹いた。田代氏は、PFASが風などにより西側に流されたとみて「一時的とはいえ、かなり広い範囲の海水に広がったと言える」と指摘した。原田准教授は「海の生態系や河口周辺の環境を調査する必要がある」と強調した。 (金良孝矢)

比屋良川で泡消火剤の回収作業にあたる消防士=11日午後、宜野湾市嘉数