減給、解雇、雇い止め…相談相次ぐ 労働組合に正規雇用からも


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 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて沖縄県労連には2月14日から4月27日までに34件の相談が寄せられている。相談者は宿泊業、旅行業、道路旅客運送業など、観光業と結び付きの強い業種の従事者が比較的多い。非正規雇用者から減給や解雇・雇い止めの相談が相次いでいるという。相談者の雇用形態は正規雇用が12人、非正規雇用が22人だった。県労連の嶺間信一事務局長によると、ここ1、2週間は正規雇用者から解雇・雇い止めを受けたとの相談が増えており、急速に雇用状況が悪化している。

 内容の内訳を見ると、自宅待機・休業に伴う補償や仕事の減少に伴う減給についての相談が最も多く、13件。観光バス会社の正社員の女性からは「3月末から自宅待機の通告を受けた。賃金は6割支給すると言われたが、とても生活できない」という相談があった。同業者の非正規職員の60代男性からは「休業手当が正社員には支給され、アルバイトには支給されていない」との相談が寄せられた。

 次に多かった相談は解雇・雇い止めに関する内容で10件あった。宿泊業の正社員の女性は「宿泊客の減少で自宅待機をしていたが、解雇を通告された。待機の期間は賃金の6割が支給される。休業補償の引き上げ・解雇条件について掛け合ったが、経営者はまともに話を聞こうとせず、拒否された」と話しているという。

 退職の強要または勧奨に関する相談は3件あった。宿泊業に従事する正社員の30代女性は「勤め先の業績不振で基本給の3割カットか、希望退職に応募するか」選択を迫られたという。このほか60代男性の求職者から「経済不振の影響で仕事が見つからない」、フリーランスの女性からは「仕事がなく収入も生活費もない」など不安を訴える声や相談などが8件寄せられた。

 一方的に解雇を言い渡されたという相談が多い中、嶺間事務局長は「いかなる場合でも法律は順守しなければならない。解雇・休業は労働者と協議の上、合意を得ることが大切だ」と話した。県労連は企業に対し、雇用調整助成金などを適宜利用した上で雇用を維持するよう呼び掛けている。