供給食糧「底突きそう」 食の困窮、家族に迫る コロナで需要急増


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「おきなわこども未来ランチサポート」の食材を車に積み込む、子どもの居場所の関係者=4月28日、宜野湾市の嘉数区自治会事務所

 新型コロナウイルス感染症の影響で仕事が減ったり失ったりする人たちが増える中、食料援助を必要とする人も増えている。食料支援などを行う団体は食料が「底を突きそう」と悲鳴を上げ、さらなる寄付や行政の対応を求めている。

 琉球新報社とNexSeed沖縄校(富田杏理校長)が協賛企業から寄贈された食品を子どもの居場所などに配布する「おきなわこども未来ランチサポート」は、休校中の児童生徒への昼食支援を主目的とするが「家族を含めて3食に困る差し迫った人が増えている」と富田校長は話す。

 南部の居場所職員は「もともと厳しい家庭が、仕事が減ってますます厳しくなっている」と話す。週3回開く食堂は、子どもだけでなく大人も利用するが「必要とする人が増えているからか、自分たちが集められる食品の量は減っている」と厳しい表情を浮かべる。

 食堂運営のほか食料を個人宅に届ける北部の団体は、口コミで情報を知った人からの問い合わせが増えているという。「観光が主産業の地域。仕事を失って転職した先でも仕事がなくなり、いよいよ困って連絡する人もいる」と厳しさの広がりを指摘する。

 一方寄贈される食品は、3月の休校時にはレトルトやカップ麺が多かったが、外出自粛の長期化で店頭販売量が増えて寄贈分は減少した。観光客減少に伴い土産用のお菓子が増えて「子どもたちのおやつに」と喜ばれているが、食事に困る家族を支えるのは難しい。富田校長は「民間だけで支えるのは限界がある。行政が動いてほしい」と訴える。

 那覇市社会福祉協議会では、緊急で食料が必要な世帯を支援する事業の対象者が4月、前年の1・5倍になった。

 生活資金を貸し付ける緊急事業の申請は連日100件に上り「この資金を使い切った後は食料支援が必要になるのでは」とさらなる増加を見込むが、提供用食材は「底を突きそう」。米や缶詰など「食事になる食材を提供してほしい」と訴えた。