「サイレント選挙」余儀なく コロナ3密回避 陣営、支持拡大に苦慮<県議選2020>


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県選挙管理委員会が通知した県議選立候補予定者事務説明会の開催中止を伝える文書

 新型コロナウイルスは6月7日投開票の県議選にも影響を及ぼしている。立候補予定者らは、それぞれ「3密」を避けるため、屋内での集会や決起大会を軒並み中止する異例の事態となっている。これまでの沖縄の選挙にはなかった「サイレント選挙」が予想され、静かな前哨戦に立候補予定者らは「何もできない」と頭を抱える。

 「朝夕礼など企業回りをしたいが、企業から嫌がられるようになった。夜も通常だと模合をはしごして支持を広げるが、今回は何もできない。電話とかSNSぐらいしか手がない」。

 本島中部の保守系新人立候補予定者は困惑気味に語る。現職より知名度の低い新人は特に苦戦が強いられており、イベント中止が拍車を掛ける。

 従来なら大型連休はイベント三昧で、新人にとっては顔を売り支持を広げる絶好のチャンス。新型コロナの影響でイベントは軒並み中止となり、本島北部の立候補予定者も「じっと待つことしかできない」とため息をついた。

 各陣営はSNSや電話、郵送などで票を掘り起こそうと工夫を凝らす。

 ただ、SNS重視の空中戦だと投票率の高い高齢者からの支持は限定的になるため、地域回りなどのどぶ板選挙を重視する作戦は「完全にやめたわけではない」という陣営も。地域を回る立候補予定者は「窓から顔を出す支持者に手を振り、声を掛けるなど距離に気を使っている」と、新たな方法を探りつつ支持拡大を狙う。

 感染対策に苦慮しているのは自治体も同じ。県選挙管理委員会は、立候補予定者の事務説明会中止を決めた。職員が説明する動画DVDや様式書類を郵送するなど人と接触しない選挙を徹底させる。

 同日に村長選を予定する中城村では、投票所にアルコール消毒液やアクリル板などを設置し、使い捨て鉛筆の準備を進める。

 担当者は「ゴム手袋が確保できる見込みがない。開票作業は密閉している空間で作業しなければならないので、3密を避けるのは厳しい」と頭を抱える。

 県内全域で悩める選挙戦となりそうで、立候補予定者らの政治力が試されている。
 (’20県議選取材班)