沖縄こどもの国、動物の動画を次々と「終息したら会いに来て」 〈観光地のいま〉1


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 サル山を元気に駆け回るヤクシマザル、お気に入りの場所で涼むホワイトライオン、むしゃむしゃと餌を頬張るキリン―。新型コロナウイルスの影響で臨時休園中の沖縄こどもの国(沖縄市胡屋)だが、動物たちはいつもと変わらぬ“平穏な日常”を送っている。「職員は交代制で出勤し、休園中も餌代は毎日かかりますからね。大変なのはきっと人間だけでしょう」。そう語り笑みをこぼすのは、同園の翁長朝(はじめ)総務企画課長。「今はみんな我慢の時。前向きに考え、今だからこそできることに取り組みたい」と前を向く。

ホワイトライオンのリズムに「静かだね」と話し掛ける翁長朝課長=4月30日、沖縄市胡屋の沖縄こどもの国

 晴れ渡った空が広がる4月30日。例年、大型連休のこの時期は年間で最も忙しいはずなのに、県内最大級の動物園に人けはない。「キッキ」「ヒヒーン」。時折聞こえてくるのは、動物たちの鳴き声だけだ。

 園では4月中旬から職員が2班に分かれ出勤、園内の管理や動物たちの世話をしている。限られた人数の中で全職員が担当を越え協力しながら業務をこなしているという。

 特に大変なのが約145種、1120に及ぶ動物たちの飼育だ。休園でも動物たちには関係ない。普段は別の部署にいる職員が牧草の調達や餌づくりをしたり、排せつ物を片付けたりすることも。慣れない作業も多いがそれぞれが新たな気付きや、やりがいを見つけているという。

 一方で、休園中だからこそできる作業もある。来場者がいないため、施設の修繕工事や動物舎の建設作業を進めるのには良い機会だという。同園では施設の整備拡充に力を注いでおり、クマ舎やキリン舎などの整備が着々と進められている。4月には新たなサル舎が完成し、ヤクシマザルの引っ越しも無事に済ませたばかりだ。

 休園中の動物の様子などを伝えようと、園のユーチューブチャンネル「こどもの国TV」では動画の定期配信も始めた。サルの「しりだこ」の真相に迫るものや、どの餌で魚が一番釣れるかを検証するものなど、楽しみながら生物への理解を深められるようなコンテンツにこだわって製作。1日1本の配信を目指すという。

 「コロナが終息したら、動物たちに会いに来てほしいな」。翁長さんは一日も早い終息を願っている。
 (当銘千絵)

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 年間で最も行楽地がにぎわう大型連休。しかし今年は新型コロナウイルスの影響で外出自粛が続く。観光地の現状と、事業者の思いや取り組みを追う。