緊急宣言「限界」悲鳴とあきらめ沖縄でも 医師「解除の目安に抗体検査を」


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
緊急事態宣言の延長を受けて、31日までの休館を決めたパレット市民劇場=4日午後6時、那覇市久茂地

 新型コロナウイルス特別措置法に基づく全国への緊急事態宣言は、31日までの延長が決定した。延長に伴い遊興施設などの休業が継続する可能性が高く、経済や社会活動の停滞が長期化することが懸念される。県内からは「仕方ない」と延長を冷静に受け止める声が上がる一方で、先行きを不安視する意見も多く聞こえた。

 那覇市のパレット市民劇場は、緊急事態宣言の延長の可能性が報じられた段階で、4月23日から5月6日までとしていた臨時休館を今月末まで延長する方針を決めた。担当者は「国内の状況を見る限り、延長せざるを得ないだろうと思っていた」と話す。

 名護市山田区の阿波根数男区長(71)は「(新型コロナは)治療薬のない状況だ。(緊急事態宣言は)もっと長引くのではないか」と長期化を懸念する。同区は市と調整して、3月上旬から公民館を使う行事などを中止している。「人間あっての公民館だ。命が大事で、仕方のない対応だ」と強調した。

 那覇市泉崎の飲食店「味噌めしや まるたま」は、4月6日から店舗での飲食をやめて弁当のテークアウトを始めた。仲西武久店長(49)は「売り上げは普段の3分の1だが、働く人や近所の人のために当面、様子を見ながらテークアウトを続ける。周りの飲食店も緊急事態宣言の期間が延びたことで、テークアウトを始めるようだ」と説明した。

 3月から休業を続ける、ライブハウスモッズ(北谷町美浜)の喜屋武尚オーナー(59)は「ライブハウスは1月から影響を受け、限界を超えている」と頭を抱える。営業再開後もライブの事前告知やチケット販売の期間が必要と考え、5月末までの休業を決めていた。「(緊急事態宣言の)延期で実質的に6月末まで休業しないといけない」と声を落とした。

 うるま市商工会の新垣壮大会長(58)は「イベント、宿泊、飲食業界は宣言前から売り上げが激減し、多大な影響を受けている。(延長は)命を守るためには仕方ないが、事業主には大変だ。家賃や従業員への給料が払えない事業者が出てくる」と危機感を募らせる。

 八重山地区医師会の上原秀政会長(65)は「現状でも経済的に厳しい事業者は多く(経営が)持たない事業所も出てくるだろう。それで自殺者が急増したら目も当てられない」と懸念する。「解除の判断は難しいと思うが、その目安にするために抗体検査を早く進めるべきだ」と訴えた。