ごろーんとワオキツネザル 動物の素の表情、SNSで発信〈観光地のいま〉3


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盲目のワオレムール「キンタロウ」に餌をやる飼育員の神田有希佳さん=2日、名護市名護のネオパークオキナワ

 「動物は本当に表情豊か。いろんな姿を見てほしい」。新型コロナウイルス感染拡大防止のため4月17日から臨時休園中の「ネオパークオキナワ」=名護市名護。飼育員の神田有希佳さん(21)=大阪府出身=が、公式ツイッターとインスタグラムを示しながら笑みをこぼした。ごろーんとあお向けで日なたぼっこするワオレムール(和名・ワオキツネザル)、宙づりのまま草を食(は)むナマケモノ、カラフルなアフリカの鳥たち…さまざまな動物の写真や動画が、飼育員によってアップされている。

 休園中は、16人いる飼育員が交代で出勤し動物を世話している。普段は来園者がけがしたりしないよう目配りする必要があるが、今は時間の余裕が生まれた分、動物をじっくり観察できる。「気を抜いた一瞬にのぞく素の姿が面白い。長時間一緒に過ごせる今だからこそ見られるし撮影できる」と神田さん。ネットで発信して新たなファンを獲得し、パークの知名度向上にもつなげたいと考えている。

 約100種類の動物がいるネオパーク。昨年まで来園者数は右肩上がりだった。1年前のゴールデンウイークは親子連れや外国人であふれ、「ふれあい広場」の犬コーナーは満員、甲羅に乗れるゾウガメには順番待ちもできた。飼育員は来園者のガイドに追われた。

 今年2月から新型コロナウイルスの影響で外国人客が減り、3月はゼロに。同月の来園者数は昨年同期の4割減、4月に入って県内客もまばらになった。

 取材に訪れた5月2日は朝から雨。入り口の「フラミンゴの湖」では、普段は餌をもらおうと来園者の周りに集まる鳥たちが、水辺で雨に打たれ静かにたたずんでいた。パーク内の国際種保存研究センターでは、リスザルの「キュキュキュキューッ」という鳴き声が周囲に響き渡った。

 動物が好きで、ガイドも楽しみながら取り組んでいた神田さん。「どうすれば動物のことが伝わるか工夫して、お客さんに楽しんでもらえるとうれしい」と仕事のやりがいを語る一方、大きく変わったパークの現状には「お客さんも職員も安全第一。早く感染の不安なく来園してもらえるようになるといい」と複雑な心境をのぞかせた。

 開園後について、神田さんは来園者がもっと動物の面白さを体感できる施設にしたいと考えている。「今はじっくり動物と向き合う時間。開園に向けて準備します」と前を見据えた。
 (岩切美穂)