【識者談話】支援制度を活用し、雇用を守って 島村聡沖縄大学教授


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 食べられない人がこれだけいる状況は厳しい。新型コロナが長期化する中「10万円の給付金では足りない」という声は多く、特に少人数の世帯では家賃も出せないだろう。

 所得の減少幅を見ると、現在の支援制度が十分活用されていない可能性がある。

 従業員に支払う休業手当の費用を国が助成する雇用調整助成金は、事業所が主体的に動いて申請する必要があるが、手続きは煩雑で県内に多い中小零細では対応できないところもあるだろう。所得や勤務時間の記録がなければ必要書類もそろわない。仕組みの問題もあるが、事業者の意思次第という面も大きい。

 国には事業所への家賃助成を早期に立ち上げ、企業には労働者の雇用を守るよう制度を積極的に活用してほしい。解雇せず雇用し続けることが事業の迅速な立ち直りにつながる。東日本大震災時には「みなし失業給付」として、休業中でも失業したとみなして失業給付を受け取れる特例措置があった。このような実効性の高い制度も必要だ。