【記者解説】「心理的な影響」が深刻で広範 早急、確実な対策が急務 新型コロナ県民アンケート


この記事を書いた人 Avatar photo 田吹 遥子
イメージ写真

 新型コロナウイルス感染症の社会的な影響を聞いた今回のアンケートでは、所得の減少のみならず心理的な影響が深刻かつ広範にわたることが明らかになった。経済や雇用、心理的な対策を早急に打たなければ、外出自粛など命を守るための対策が逆に人々の健康を害し命さえ失いかねない。

 また、その影響は誰もに等しく現れるのではないことも浮かび上がった。自営業をはじめ非正規職員、ひとり親、低所得世帯などの苦境ぶりは著しく、従来から弱い立場にある人に負担が集中していた。

 食費や家賃の支払いに困る人が3割近くに上る状況にあって、給付金や助成金が一刻を争うのはもちろんだが、支援の手が届きにくい層を見定め、確実に届ける仕組みが不可欠だ。例えば子どもを抱え、金策に追われる人が煩雑な申請手続きを行うのは困難だ。集まった回答の自由記述には、社会構造や制度の不備・不在が個人の生活にどれほど影響するかがつぶさに表れている。この混乱は長期化が予想され、感染の第2波、第3波の可能性も指摘されている。現状を訴える人々の声から必要な施策や今後の社会の在り方を考えたい。
 (黒田華)