イージス・アショア現行案断念 なぜ辺野古では「決められない」のか 識者談話・佐藤学沖国大教授


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 沖縄ではこれまで知事選をはじめ、多くの選挙で新基地建設反対を訴える候補者が当選し、民意を示してきた。一方、秋田でイージス・アショアの配備反対を訴えた候補者が当選したのは昨年の参院選の一度のみ。秋田市内のイージス・アショア配備は自衛隊の基地内だから、日本の判断で決められ、地元の反対を理由に配備をやめて新たな配備地を探す。辺野古は日米両政府で決めたことだから日本だけでは決められない。これが今回の日本政府の言い訳だろう。
 だが、実態は異なる。秋田のイージス・アショアも米国を守るための配備だ。秋田市と北朝鮮は地理的に近い。表向きは北朝鮮のミサイルから自衛隊や日本を守るための迎撃システムだが、実際にはグアムやハワイの米軍基地を守る設備であることは明らかだ。
 米国を守るイージス・アショアの配備地を日本で決められるのなら、辺野古の新基地建設も日本で決められるはずだ。現に米国は辺野古の新基地建設問題は、日本が決めることだとずっと言っている。多額を拠出して12年もかけて工事するなど、誰のためにも役に立たない。米国に辺野古の代替地として、海兵隊にとっても有益な場所を提供できるという提案を持ちかければ、交渉できるはずだ。
 ただ政府にやる気がない。そもそも沖縄に対して考えるつもりが全くない。面倒なことは沖縄に押し付けておけばいいと思っている。県の保守系野党はこの日本政府の対応に怒るべきだ。
 (政治学)